旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ちんちくりんの蛹。ブラックホール?付き

梅雨時であるからして、カラリと晴れた日と休日がシンクロするはずもなく、、、
特にこれといった写真を撮れなかった。と言う事で、

今週は飼育昆虫から。

5月27日にイボタノキにくっついていたいもむし。

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腹脚が一対なのでシャクガ科ですね。
おしりの方がポッテリとして第4腹節背面に大きなコブがある。
枝に沿ってまっすぐ止まっていたが、こちらに気がつくと?クルンッと丸まって動かなくなってしまった。

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(画像は持ち帰ってから撮影したもの)

私は初めて見たので当然お持ち帰り。
ただどこかで見た記憶があるので手持ちの図鑑を当たったら、「日本産蛾類生態図鑑(講談社)」にそっくりな幼虫が載っていた。
コガタツマキリエダシャクAgaraeus parvus distans

ふ~ん、と思いながら飼育続行。
2日ばかりの間、与えたイボタノキのツボミや葉っぱを食べると、
枝に自分の吐いた糸で体を縛りつけ、蛹化した。

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とても雑な繭とも言えないような繭である。
ほとんど糸が見えないから、繭とは言えないか。
ただ、しっかり巻き付けられているので、枝から落ちることは無さそうだ。
蛹化すると縮んでしまってえらく寸詰まりの形。

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前から見ると、中胸の左右に黒い穴?のような模様。
光の当たる向きを変えても黒い。

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まるでブラックホールのよう。

で、先週羽化した。

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羽化仕立ては紫がかってキレイじゃのう、
と写真を撮ってから2・3日、
ふと図鑑を見直すと同属に別種がいる。検討した結果、

エグリイチモジエダシャク Agaraeus discolor の方でした。

前の日本産蛾類生態図鑑では、幼虫は未発見とされているの方だった。
さらに調べると「蛾類通信」と言う、一般人からは理解できないであろうタイトルの雑誌の2008年に既に生態について発表されていた。
それによるとイボタから捕れた幼虫を飼育して羽化したとあり、
形態はコガタイチモジエダシャクと区別できなかったそうだ。
割と最近判ったのね。

おまけ
蛹の脱皮殻から、黒い穴のような模様を拡大撮影

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よ~~く見ると、微小な短毛がびっしり生えていた。
まるで、静電植毛されたぬいぐるみのよう。
もしくはコタツのカバーとか。
この毛が光の反射を抑えて、まるで穴ぼこのように見えるようだ。

なんの役に立つんだろ???

ではまた

のぞきは犯罪です。

梅雨入り最初の日曜日。

曇り空。

いつものお散歩コースを歩いていると、
ウバメガシの枝先がまとめられているのが目に入った。

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こういうのを見つけると、めくりたくなるのが男の性(さが)。

ウヒヒ、おぢさんに中を見せてごらん。(変質者)
ペリ

ペリ


ペリリ

ギロリ @ @!!

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睨まれました。
ごめんなさい。

アケビコノハの繭でした。
よく見たら脇にミツバアケビのツルがありました。

ではまた

答え合わせ・・・ニセオオコブガとフシキキシタバ

虫の日にパタパタと飼育中の蛾が羽化してきた。

まずは先日記事にしたノグルミで見つけたレモン色のケムンパス

こういう地味なのが羽化してきた。

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ニセオオコブガ'Meganola' protogigas でした。
コブガ亜科の予想は見事に的中
同属近縁のオオコブガはオニグルミにつき、幼虫は脱皮殻の頭部を頭に残して重ねているそうだ。
リンゴコブガも同じ事をする。
ニセオオコブガでは終齢幼虫を見る限り、そのような習性はないようだ。


同じ日に羽化してきた蛾。

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フシキキシタバ Catocala separans

この蛾の幼虫は、
お散歩コースの道の真ん中で、うにっくうにっくしていたのを拾ってきたもの。

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すでに前蛹状態だが、体下面側部のゴジラの背中みたいなピラピラと、

腹面の

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赤ワイン色の斑紋が、
以前の記事、「コナラのカトカラ・・・アサマキシタバ他」の2種目の幼虫と特徴が一緒。
と言うことで、こちらも予想が当たってました。

フシキキシタバと言えば、昔は灯火採集でも滅多に飛んでこない蛾として知られた珍品でしたが、実は明かりに集まる習性があまり無いだけで、実は都市近郊の小さな雑木林でも見つかったりする、案外普通種であることが判ってきたそうだ。
と言うか、明かりに引き寄せられないため、廻りが灯りだらけの町に近い雑木林でも生き残ることが出来たと言うことでもあるとか。。。


おまけ。
フシキキシタバ前蛹の顔。

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指先あわせて、てへっ(・ω・)

ではまた。

トゲトゲしゃくとりむしの羽化・・・クロスジアオシャク

私的懸案課題だった蛾が一昨日羽化した。
これ。

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クロスジアオシャク Geometra valida

一昨年蛹まで飼育して羽化しなかったアオシャクと同じ種かな?
以前記事にした-->「ウレシさ半分、間抜けな出会い

図鑑に載っている幼虫の写真と比べて、背中のトゲが発達しているので、
?マーク付きで放置していたもの。

極々一部でコナラの冬芽に化ける幼虫として有名な、
カギシロスジアオシャクと同属である。

クロスジアオシャクも幼虫で越冬するので、
同じように冬芽に擬態するはずで、
冬の間は結構気にしながら散歩していたのだが、
結局見つけられなかった。

それがゴールデンウィーク中に、いつものお散歩コースで終齢幼虫を見つけてしまった。

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クロスジアオシャク終齢幼虫

幼虫だけ見ると存在感があるが、葉陰にいると目立たない。

一昨年前の幼虫と比べると、第8腹節の突起が今回は尖っている。
あれ?ひょっとして別物?
一昨年のもクロスジアオシャクで解決!と思ったが、
やっぱり保留かなぁ?


おまけ。正面顔。

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キリッ



ではまた

レモン色のケムンパス

先週の日曜日、ノグルミにいた毛虫。

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鮮やかなレモン色。

3年前にも同じ樹で見掛けたが飼育に失敗した奴だ。
当然、お持ち帰り。

2日程、ノグルミの葉をモリモリ食べていたが、

こうなった。

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どどめ色。(ってどんな色だ?)
2012.9.30追記
非公開コメントで「どどめ色」とは茨城の方言で暗めの紫色であると、情報を寄せていただきました。へ~~知らなんだ。○○○さん、ご教示ありがとうございました。


なんだか毛虫のゾンビと言った風情。

前回もこの状態から衰弱して死んでしまった。

今回はちょっとヒラメいてクヌギの枝を入れてみた。

次の日。

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大成功ヽ(・∀・)ノ

樹の皮を細かくかじり取って、きれいな繭を作った。

蛾の中には樹の皮をかじる事が蛹化の行動に組み込まれていて、
それが出来ないと次のステップに進めず、死んでしまう種類がいる。
写真の種はそう言う種類なのだろう。

以前飼育したものの中にもいた。
シロモンフサヤガとか、ヘリグロコブガなど。
ケンモンガの類いとかコブガ亜科にこういう習性の種類がよくいる。

で、今回の毛虫は何かと言うと、、、、
まだ判りません。

コブガ科なのは間違いないはず。
その中でも、リンガ亜科は繭に樹の皮などの装飾は使わずに糸だけでボート型の繭を作るものが多い。
こんな風に細切れの樹の皮を使って、なおかつ毛虫なのはコブガ亜科だと思う。

無事羽化したら正解が判りますが、
さてどうなることやら?

2012.6.6追記
その後羽化して、ニセオオコブガ'Meganola' protogigas であることが判明。

答え合わせ・・・ニセオオコブガとフシキキシタバ