旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ウコンカギバの幼虫と成虫・交尾器

ゴールデンウィークにウバメガシで見つけたツノツノいもむし。

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ウコンカギバ Tridrepana crocea


ピエロの帽子にある角のような突起。

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頭部には猫耳みたいなポッチがあり。

見つけた時には成熟幼虫だったようで、持ち帰るとまもなく蛹化した。

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葉っぱに帯状に糸を渡して浅いポケットを作り、そこにおしりのカギを引っ掛けて固定する。(写真の蛹ははずれてしまっている。)
以前見たギンモンカギバの蛹もそうだったので、この蛹化方法はカギバガの仲間内の流行りのようだ。
(記事はコチラ→「X・・・ぺけぽん目立ちすぎ」)

ウコンカギバは蛹も変わっていて、頭に角が生えている。
オニボウフラ(蚊の蛹)みたいだが、気門の伸びた呼吸角ではない。
触角みたいだが、触角は体に沿って貼り付いているので、これは純然たる角である。

さて、ウコンカギバには外見でほとんど区別が出来ないヒメウコンカギバTridrepana unispinaがいる。
確実な区別には成虫の交尾器を見なければならないそう。

写真の幼虫が本当にウコンカギバかどうかは、羽化させて交尾器を見なきゃ。と思っていたら、昨日羽化。
あれ?羽化写真がない。
後で挿入します。

見つけました。

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ウコンカギバ Tridrepana crocea

で、はしょってウコンカギバ♂交尾器

側面

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ファルスをはずしてバルバを開いて後方から。

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同じく腹方から

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ファルス拡大

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オマケ
第8腹板

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ヒメウコンカギバでは背板がこれより細いそうだ。

ではまた

コナラのカトカラ・・・アサマキシタバ他

今年のお散歩コースはいもむし毛虫が豊作である。

新葉がほとんど食べられてしまったコナラ。

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さて、ゴールデンウィーク中のお散歩で見掛けたいもむし。

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アサマキシタバ Catocala streckeri の幼虫。
おしりの方に立派なトゲのあるカッコイイ幼虫である。
模様には個体によってかなり変化があるが、
亜背部に単色淡色の帯があることが多い。
また成熟すると粉を吹いたような粉白色を帯びる。
また他のキシタバ類より発生期は早く、5月下旬には成虫を見る。

この蛾が属するCatocala(カトカラ属)は、後翅に黄色や赤の縞模様のある美麗種で、人気の種類である。

他にもう1種別のカトカラをコナラで見ている。
こんなの

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腹部下面側方になにかピラピラが連なっている。

手持ちの図鑑では、
フシキキシタバ Catocala separans
に似ているのだが、こちらは飼育確認した経験がないので、
ちょっと保留としたい。
今は蛹である。

飼育4日で成熟状態のフシキキシタバ?

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腹面にはぶどう色の斑紋。

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腹面のピラピラの拡大。

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毛でもないし、なんだろね?

なんか見たことあると思ったらあれだ、
ゴジラの背中のピラピラがこんなだったような??

ではまた

2012.6.6追記
下の種は、予想通りフシキキシタバであることを確認しました。
答え合わせ・・・ニセオオコブガとフシキキシタバ

ナミガタエダシャクの羽化

うおう!
散歩に夢中でブログの更新忘れるとこだった。

5月1日に飼育していた蛾が羽化した。

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ナミガタエダシャク Heterarmia charon charon


今年の1月に、幼虫が桜の枝で越冬していた。

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枝の振り~



体長は17mmほど

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その後、庭のサクラの枝にヨメの捨てたストッキングを被せて放置していたのだが、
4月の10日頃、糞が溜まってきたので出してみたら、
前蛹になってました。

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コロンッ



終齢幼虫の形を見損ねてしまった。ガクッ。


オマケ

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ではまた

俺の嫁!・・・フクラスズメ

○○は俺の嫁
とか言ってるオタクのオニイサンが世の中に蔓延してますが、
それを物理的な達成している虫のお話し。

一昨年、建物から出られずに死んでいたフクラスズメを拾ったので、
交尾器を見てみた。♂だった。

バルバを広げて腹面から(ファルスは除く)

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同側面

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ウンクスが鳥の頭のよう。

ファルスの中に透けて見えるコルヌティが
黒く目立っていた。

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反転させるとそれはバラバラになって拡がっていく。

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なんじゃこら?で
ほっぽっていたのだが、
去年発行されたばかりの「日本の鱗翅類」をパラパラ眺めていると、
「蛾の中にはコルヌティが外れやすく、交尾の際、♀の交尾嚢に残り、
それ以降の交尾を邪魔する機能を持つものがいる。」と書いてある。

ハタ!

本には実際の例は書いてなかったが、フクラスズメのコルヌティは
そのためにたくさんあって、しかも外れやすくなっていたのか。


拡大すると、細切れの鉄条網みたい。

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1目盛りが0.01mmだから0.3~0.4mmくらい。

こんなものが絡まっていたら、もし次の♂が交尾しても、
精子を奥まで送り込めないだろう。


あとは、♀の交尾嚢にこの♂のコルヌティが見られればオモシロイなぁ、と


思っていたら、今週たまたま仕事先のビルの屋上階の階段に、
出られなくなって死んでいるフクラスズメを見つけた。
これがラッキーなことに♀。
(ラッキーは不適切な発言でした。)

解剖。

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ありました。

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拡大

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一目盛りが0.025mm。

でも思ったより少ない。

閉じ込められて死んだ個体なのでたまたま少なかったのかな?
それとも複数回交尾したラッキーな♂がいて、
コルヌティを使い切っていたとか?

でも、確かにメスの交尾嚢にコルヌティが残されているわけで、
フクラスズメの「俺の嫁」作戦は信憑性が高いとおもう。

こういう♂の作戦は他でも知られていて、有名どころでは
ギフチョウの交尾栓とかありますな。
ギフチョウではニカワ状の物質を交尾口を塞いでしまうという。
後ちょっと違うがトンボの仲間では、ブラシ状の器官があって
自分より以前に交尾した♂の精子をブラシでかき取ってから交尾するという。

虫達の♂、必死すぎ


おまけ

フクラスズメ♂の腹端

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白い毛束。(下の矢印)
引っ張り出すとツンとした刺激的な芳香がする。
♀と交尾するときのなだめ物質だろうか?

腹部背面にあるギザギザ。

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図鑑にも存在は記されてあるが、機能については判らないとのこと。

誰か調べない?

ではまた

フクラスズメの幼虫は以前紹介済み
いもむしのおしり♪
いもむしのおしり解答

クロヒラアシキバチ改めカタマルヒラアシキバチ?

先週の記事のヒロバフユエダシャクの幼虫、カビて死んでしまった。
ちっちゃくて潰しそうだったので産卵された枝を残しておいたのだが、
そこからカビが広がってしまった。
ずぼらせずに面相筆でチビチビ移すべきであった。反省。
このパターンは何回もやらかしているのに、、、
学習せんなぁ、ワシ。。。

気を取り直して、お散歩コースのお話。

今年はヤマザクラソメイヨシノが同時に咲き始めた感じである。
いつもはヤマザクラが先に開花していたような?
で、春らしい陽気の日曜日。
お散歩コースのヤマザクラは盛りを過ぎて散り始めていた。

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週に一度の散歩では、なかなかヤマザクラの満開には当たらないものである。
じくじくじく


さて、コナラの枝の陰に隠れていた細長い虫。

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キバチの仲間だ。

クロヒラアシキバチ Tremex apicalis
ヒラアシキバチ属で真っ黒なのは本種だけのようである。

2012年5月10日追記
ハバチ・キバチ類の同定に使っている「大阪府のハバチ・キバチ類」の著者の先生よりご指摘があり、訂正。
写真の個体は、前脚が赤く腹部に斑紋がある事からクロヒラアシキバチではないとの事で、カタマルヒラアシキバチの可能性が高いとの事です。
実はこの後ゴールデンウィーク中に、この近くでカタマルヒラアシキバチの♀を偶然採集しているので、写真の♂はカタマルヒラアシキバチでほぼ間違いないと思われます。


カタマルヒラアシキバチ Tremex contractus ♂

背面
ハバチと違って前胸が立派。

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腹端が尖っているが、♂なので針はなく、せいぜい刺す振りをするだけ。
尖っているのは腹板。ツチバチ類の♂も同じようなナンチャッテ針を持っているが、こちらは尖っているので少々痛い。
でも毒はないからその場だけ。


腹面

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腿節がやたらと短い。
キバチ類の幼虫は衰弱木に潜孔するカミキリムシ同様の生活をし、そのトンネル内で蛹化、羽化し、体が固まってから脱出する。
その細いトンネルを通過するときに、この短い腿節は便利だろう。
ところで第1付節が大きいのは何で?
ミツバチみたい。


触角

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ヒラアシキバチ類の特徴のひとつは触角第2節が短く球形であることだそう。

翅脈はこんな感じ

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おまけ
♂交尾器引き出して見た。

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ではまた