旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ピンクのお布団・・・・サラサリンガ?

お散歩コースのコナラの葉裏に謎の繭?を見つけた。
10月5日のことである。

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周囲の葉っぱが葉脈標本になっている。
何が出てくるのかな?
持って帰ってみた。

数日後見ると、ケースのなかに黒い点ツブが落ちている。
アリャー、寄生蜂が出ちゃったか。

と思いながらよく見ると、
チイサナ毛虫がいっぱい死んでいた。

繭と思ったのは当方の早とちり。
じつは卵塊であった。
反省しながら拡大して見ると、卵塊表面にはピンクの鱗粉で厚くカバーされている。
(ピンク?????)

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鱗粉を除くと、空の卵殻が見える。

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これらを持ち上げるように集団で糸を吐いて膜状のテントを張り、普段はその下に潜んでいるようだ。
で周囲の葉裏を少しずつ食べて葉脈標本を拡大している。
テントの周りには、脱皮後の頭部が散らばっていた。大きさに3段階あるようなので、少なくとも3、4齢までは集団生活をするようだ。

で、なんの幼虫か気になるところ。。。

死んでしまった幼虫を詳細に見ると、
腹脚は4対、胸脚・尾脚は特殊化せず通常。
(この時点で、シャクガやシャチホコガは外れそう。)
腹脚の鉤爪は単列縦状であった。
(環状配列の小型蛾類と、異規的縦帯のヒトリガ科は外れる、と、、、)
腹部背面に背腺は見あたらない。
(と言うことは、ドクガ科は外れる。)
※この辺、なんのことかわからない!と言う方は、
拙アルバムを参照してください。--->コチラ

(編集中です。すいません)

残ったのが、ヤガ科、ケンモンガ科、コブガ科。
日本の既知種はそれぞれ、1276種、13種、107種。
絞れたうちに入らない~~

あとは状況証拠による絞り込み。。。

クヌギ、コナラにつく。
卵塊、集団生活。
おそらく幼虫越冬。
ピンクの鱗粉。

ココで思い出したのが、2007年に長野や北海道で大発生した毛虫の話題。
2006年の暮れあたりだったと思うが、コナラの幹に糸を張った毛虫の集団がいるという問い合わせが、虫系掲示板にあったのだが、結局犯人はサラサリンガの幼虫だったそうだ。
で、今年の夏はサラサリンガの成虫があちこちで見つかり、兵庫県でも三田市や神戸市で撮影された画像をネット上で見かけるようになった。

サラサリンガは黄色地に黒の斜線をちりばめ、朱色の模様が入った美麗な種である。(参考;みんなで作る日本産蛾類図鑑。サラサリンガのページ

残念ながら、私は今年見られなかったのだが、みんなで図鑑のサラサリンガを眺めていて腹面の写真に目がとまった。
腹端部だけがピンク色!

どうも死んでしまった毛虫は、サラサリンガだったような気がする。
状況からしても、十中八九間違いないと思う。

と言うことは、この夏、私のお散歩コースにもサラサリンガがいたことになる。
う~~ん、残念。

この前の日曜日は、上ばかり見て歩いてみたが、5カ所ほどでサラサリンガと思われる食痕が見つかった。
高~~~~い所に幼虫も見える。

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野外のお仲間は、無事成長中のようだ。

温暖化で、南の生き物が北上中なのはよく話題になるが、
南方系でもないものが分布を広げている例がある。
(この蛾とかチャイロスズメバチとか)

なんなんでしょうね、いったい?