この時期よくいるヒロズコガ
梅雨時になるとお散歩コースの稜線沿いの木で見かける小蛾。
ヒロズコガ科の1種 Tineidae gen. sp.
だと思う。
いつも梅雨時の曇った天気なのでロクな写真がない。
フラッシュ焚いてみた
樹皮が濡れているのでコントラストがつきすぎて私の腕ではキレイに撮れぬ。。。
頭が黄色いポワポワの帽子。
地味で模様があるかないか判らない翅。
毎年見かけるが種類がどうにも判らない。
標本♀
昨年の6月のもの
鱗粉が禿げやすくってあまりキレイナ標本がない。
新しい図鑑に交尾器がいくつか載っていたので標本箱から♂を捜す。
あった。
2006年6月採集の♂。
の交尾器側面
同腹面
斜め上から
ウンクスが水牛の角状。
ファルスに小さなトゲ(矢印左)
内袋の先に小さなコルヌティ(矢印右)
大きなコルヌティも見える。
と、、、
こんな交尾器は図鑑には載ってなかった。
というわけで普通種のくせに謎。
図鑑に無くてもどこかで記載されてるのかしらん?
ではまた。
キアシハラナガハナアブ
ちょっとバタバタしてるので今週は採った虫貼るだけ。
5月8日にお散歩コースで見かけた、シュッとしたハナアブ。
キアシハラナガハナアブ Brachypalpoides simplex
♂だったので腹端部は引き出してある。
ハナアブの世界 というサイトの絵合わせではそうなった。
あとは交尾器で検証できればいうことがない。。。
と思ったら手持ちの文献に良いのがあった。↓
「市毛勝義:キアシハラナガハナアブの脚の色彩変異について」(双翅目談話会会誌「はなあぶ」No.20)
↑の報文に♂の交尾器の図があった。
比べてみると、、、、どうも間違いなさそうなので、
以下交尾器の画像。
キアシハラナガハナアブ Brachypalpoides simplex ♂交尾器背面
ピントずらしながら5枚ほど撮って合成した画像。同様に、
キアシハラナガハナアブ Brachypalpoides simplex ♂交尾器側面
いくつかのハナアブの報文を見ると、側面図は上の画像とは上下逆に描かれているものばかりであった。
そういうお作法があるのかしら?
↑の報文は超省略すると、脚の黄色い部分は黒化する個体が見つかることがあるので注意。というもの。
ではまた
葉上のピストル
日曜日、コナラの葉上に不思議な蓑が立っていた。
ピストルミノガの1種 Coleophora sp.
拡大
上から
いわゆるミノムシの仲間のミノガ科とは別のツツミノガ科に属する。
ツツミノガ科 Coleophoridae の日本産の種は Coleophora 属の
60種余りが知られているがさらに増える見込みであるとのこと。
ほとんどのツツミノガ科は文字通り筒状の蓑を作るが、
一部の種類はピストル型の蓑を作る。
図鑑からピストル型の巣を作るものを抜き出すと、
ヤナギピストルミノガ、
リンゴピストルミノガ、
シラカバピストルミノガ、
ミヤマピストルミノガ、
カシワピストルミノガの5種。
そのうち、ブナ科を食すのはミヤマピストルミノガ Coleophora quercicola と
カシワピストルミノガ Coleophora melanograpta の2種。
でも2種の食樹はミズナラ、カシワ、クヌギなどでコナラの記録は無いようだ。
この2種は以前はナラピストルミノガの1種として扱われていた時期があったそうだ。
おもしろい蓑を作る種類であるが、成虫は科全体として地味で単調な模様の種類である。
成虫が出たら交尾器で判るような気はするが、
プレパラート標本を作るときに押しつぶしすぎると判らなくなる
とか微妙な差異を見る必要がある種類があるとかで、
一筋縄ではいかない気もする。
第一、未記載種の可能性もあるしぃ~。
お持ち帰りしたものの、どうなる事やら?
※追記
羽化成虫の画像はコチラの記事。↓
「ピストルミノガの1種の成虫」
ではまた
神戸で琉球・・・リュウキュウフトスジエダシャク
ツイッター見てたら過去記事の不明ハバチとそっくりなのが
名前付きで貼られてた。
明後日の外来生物の観察会の資料作り。こんなのも登場する予定。Nematus tibialis.ハリエンジュにつく北米原産のハバチ。
ハリエンジュハバチという外来種らしい。
過去記事修正しました。こちら↓
「ヒゲナガハバチの1種」
さて本日は。
5月1日に見掛けた地味シャク。
普通種オーラを出しまくっているようにしか見えないが
パッと名前が出ないので持ち帰り。
フトスジエダシャクの仲間のようだけど、、、
よく判らないので交尾器出してみた。
ファルス(エデアグス)がめっちゃ長い。
越佐昆虫同好会特別報告に「日本産Hypomecis属とその近縁属に関する分類学的研究」があり、ここら辺のシャクガが詳しくまとめられている。
これによるとリュウキュウフトスジエダシャクと交尾器が一致した。
こんなにファルスが長いのは同属他種には見られなかった。
リュウキュウフトスジエダシャク Cleora injectaria ♂交尾器側面
リュウキュウフトスジエダシャク Cleora injectaria ファルス
ファルスの内袋を反転させようと試みたが半分ほどで破れてしまい断念。
巨大なコルヌトゥスが透けて見える。
リュウキュウと名前にあるくらいだから南方系の蛾なのだけれど、
日本産蛾類標準図鑑を見ると最近では鹿児島や高知、三重県でも採集記録があるそうだ。
こっそりと分布を拡げているのか今まで気が付かなかっただけなのか?
マ、いくら地味な蛾でも誰か気が付くだろうから北上して行ってるんでしょうね。
図鑑によると四国の太平洋側で晩夏から秋にかけて頻繁に見られるそうだ。
ウスバキトンボみたいなもんかな?
おまけ
本体を展翅したときに気が付いたが、前翅のつけ根にチイサナ透明窓があった。
性標みたいなもんかな?
ではまた