旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

葉上のピストル

 

日曜日、コナラの葉上に不思議な蓑が立っていた。

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ピストルミノガの1種 Coleophora sp.

拡大

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上から

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いわゆるミノムシの仲間のミノガ科とは別のツツミノガ科に属する。

ツツミノガ科 Coleophoridae の日本産の種は Coleophora 属の
60種余りが知られているがさらに増える見込みであるとのこと。

ほとんどのツツミノガ科は文字通り筒状の蓑を作るが、
一部の種類はピストル型の蓑を作る。

図鑑からピストル型の巣を作るものを抜き出すと、
ヤナギピストルミノガ、
リンゴピストルミノガ、
シラカバピストルミノガ、
ミヤマピストルミノガ、
カシワピストルミノガの5種。

そのうち、ブナ科を食すのはミヤマピストルミノガ Coleophora quercicola
カシワピストルミノガ Coleophora melanograpta の2種。
でも2種の食樹はミズナラ、カシワ、クヌギなどでコナラの記録は無いようだ。

この2種は以前はナラピストルミノガの1種として扱われていた時期があったそうだ。

おもしろい蓑を作る種類であるが、成虫は科全体として地味で単調な模様の種類である。

成虫が出たら交尾器で判るような気はするが、
プレパラート標本を作るときに押しつぶしすぎると判らなくなる
とか微妙な差異を見る必要がある種類があるとかで、
一筋縄ではいかない気もする。

第一、未記載種の可能性もあるしぃ~。

お持ち帰りしたものの、どうなる事やら?

※追記
羽化成虫の画像はコチラの記事。↓
ピストルミノガの1種の成虫

ではまた

日本最小のスカシバ

正確に言うと日本最小クラスのスカシバ。
スカシバガ科はすべて昼行性でどの種も何らかのハチに擬態している。
スズメガ科のオオスカシバとは、また別の分類群。

日曜日に見掛けたスカシバ。

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ヒメコスカシバ Synanthedon tenuis
ムナブトヒメスカシバと本種が日本最小クラスとのこと。

日陰のミヤコワスレに飛来して吸蜜していた。
大きさはホソオビヒゲナガくらい?

幼虫はカキノキ科、ヤナギ科、ブナ科、バラ科、マメ科、カバノキ科など多くの枝に潜る。
昔はカキノキの大害虫だったそうだ。

採集したので横からとか、

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顔のあたりとか

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下唇鬚で五郎丸ポーズしてる。

ではまた

神戸で琉球・・・リュウキュウフトスジエダシャク

ツイッター見てたら過去記事の不明ハバチとそっくりなのが
名前付きで貼られてた。
明後日の外来生物の観察会の資料作り。こんなのも登場する予定。Nematus tibialis.ハリエンジュにつく北米原産のハバチ。

ハリエンジュハバチという外来種らしい。
過去記事修正しました。こちら↓
「ヒゲナガハバチの1種」

さて本日は。
5月1日に見掛けた地味シャク。

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普通種オーラを出しまくっているようにしか見えないが
パッと名前が出ないので持ち帰り。

フトスジエダシャクの仲間のようだけど、、、
よく判らないので交尾器出してみた。

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ファルス(エデアグス)がめっちゃ長い。

越佐昆虫同好会特別報告に「日本産Hypomecis属とその近縁属に関する分類学的研究」があり、ここら辺のシャクガが詳しくまとめられている。

これによるとリュウキュウフトスジエダシャクと交尾器が一致した。
こんなにファルスが長いのは同属他種には見られなかった。


リュウキュウフトスジエダシャク Cleora injectaria ♂交尾器側面

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リュウキュウフトスジエダシャク Cleora injectaria ファルス

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ファルスの内袋を反転させようと試みたが半分ほどで破れてしまい断念。
巨大なコルヌトゥスが透けて見える。

リュウキュウと名前にあるくらいだから南方系の蛾なのだけれど、
日本産蛾類標準図鑑を見ると最近では鹿児島や高知、三重県でも採集記録があるそうだ。

こっそりと分布を拡げているのか今まで気が付かなかっただけなのか?
マ、いくら地味な蛾でも誰か気が付くだろうから北上して行ってるんでしょうね。
図鑑によると四国の太平洋側で晩夏から秋にかけて頻繁に見られるそうだ。
ウスバキトンボみたいなもんかな?

おまけ

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本体を展翅したときに気が付いたが、前翅のつけ根にチイサナ透明窓があった。
性標みたいなもんかな?

ではまた

プライヤアオシャチホコでした

 

前記事の幼虫ですが、コメントでYAMKEN氏より指摘のあった通りセダカシャチホコではなかった。

こんな模様の幼虫に変身。f:id:insectmoth:20170102130018j:plain

プライヤアオシャチホコ Syntypistis pryeri

古い図鑑では Quadricalcarifera 属になっているが、今は Syntypistis 属。

プライヤアオシャチホコの顔。

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おまけ

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プライヤアオシャチホコ幼虫の気門(第8腹節)

おもしろい模様をしている。

ではまた

飼育途中のいもむし

これといったネタがないので、飼育中のいもむしを貼る。

4月16日にウバメガシの葉裏に卵を見つけた。

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直径は1mm以上ある蛾にしては大型の卵。
卵殻は薄く、毛が透けて見える。
孵化寸前である。

翌日、

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孵化した。

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卵殻は付着部以外はほぼ完食。

翌日見ると葉っぱの表側を舐めるように食痕を残していた。

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3日後、ほぼ倍の体長になる。

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21日には脱皮して2齢に。

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24日には3齢になるものが見られる。

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写っている3個体のうち、下の1個体はまだ脱皮寸前の2齢幼虫。

たぶんセダカシャチホコじゃないかなぁ~?
と思う。


2016.5.5追記
次記事で書きましたが、正解はプライヤアオシャチホコでした。


続く。

ではまた。