ドロバチのエイリアン
日曜日、ノメイガ辺りに綴られたイノコズチの葉っぱを探索するハチを捕まえた。
オオフタオビドロバチ Anterhynchium flavomarginatum
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フタオビドロバチ属Anterhynchium の特徴。
中脚脛節の距は1本
腹部第1節は細くない。(幅>長さ)
腹部第1背板に前方垂直面と後方水平面の間に隆起線を持たない。
前翅の亜縁紋は縁紋の半分よりもはるかに長く、ときに同じ長さ。
肩板の後縁は亜肩板の後縁に届かない。
小盾板、中胸背盾板の後方は強く密に点刻され、つやはない。
(参考:南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説)
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中脚脛節
距は1本の図
フタオビドロバチ属にはもう1種、ハグロフタオビドロバチAnterhynchium melanopterumがいるが、ハグロフタオビドロバチは、小盾板と後胸背板の橙色斑をほとんど欠く事、♀の頭盾が幅>高さであること、で区別できるとの事。
(参考:新訂原色昆虫大図鑑3巻)
顔面を見ると、頭盾が高さ>幅なのでオオフタオビドロバチでよいようだ。
ハグロ~は少ない種のようで、後頭部の刻孔が目立たないのも特徴だそうだ。
で、このハチを標本にするとき、
妙に腹節に隙間があるのに気が付いた。
ネジレバネやん!
スズバチネジレバネ Pseudoxenos iwatai
スズバチネジレバネはスズバチやオオフタオビドロバチに寄生するネジレバネだそうで、寄生率はスズバチよりオオフタオビドロバチの方が多いそうだ。
よく見ると、ネジレバネは幼虫を放出している♀の他に♂の羽化した形跡もあった。
ネジレバネの♂は、後翅が発達し前翅が棍棒状に退化している。
よく飛ぶけど命が短く野外ではほとんど見る事が出来ない。
スズバチネジレバネの♀を引っ張り出してみた。
ちょっと破れちゃった。。。
ネジレバネの♀はメチャクチャ退化した体をしており、
ほとんど卵の袋と化している。
硬化した部分は頭部ではなく、頭部と胸部が癒着してひとかたまりになったもの。
色の濃いツブツブはすでに孵化した幼虫。
つまり、スズバチネジレバネは卵胎生で幼虫を直接産み出していく。
頭胸部の拡大
順番に孵化した1齢幼虫が先端から脱出していく。
スズバチネジレバネの1齢幼虫拡大(透過光)
体長約0.3mm。室内塵にいるチリダニ類と同じくらいの大きさ。
尾毛で直立して、何かが来たら取り付くらしい。
花の上などに着地した運の良い幼虫が
さらに運良く他のドロバチが来たとき、
初めて寄生する事が出来る。
天文学的に運が良くないと生き残る事が出来ませんな。
と言うか今まで種が存続している事が不思議なくらい。
ではまた