カメムシの翅 2題
7月である。
もう1年の半分が過ぎてしまった。。。。
この間、マルウンカの後翅が退化しているのを見たのだが、日曜日、山から家に着いたとき、体に
マルカメムシMegacopta punctatissimumがくっついているのに気が付いた。
似たような寸詰まりの体型ながら、マルカメムシはよく飛ぶ。
翅はどうなっているのだろう?
と言うことで、私にくっついてきたのが運の尽き。
マルカメムシに標本になっていただいた。
写真のとおり、不思議な脈相の、立派な翅が隠されていた。
矢印の部分で折りたたんで、「大きな」小盾板(しょうじゅんばん)の下にしまい込むようになっている。
小盾板というのは、中胸背板の一部だが、マルカメムシでは大きく発達して、腹部全体を覆っている。
カメムシの仲間では、異例の折りたたみ式の翅。
この翅で、秋口、越冬場所を探して飛び回り、洗濯物にくっついたり、家の中に入り込んで迷惑かけるのね。
普通カメムシの仲間は、半分革質、半分膜質の前翅を持っている。(カメムシの仲間を「半翅目」と呼ぶのはこの構造に由来します。)
下のは普通の翅のツチカメムシMacroscytus japonensis
先々週、お散歩コースでひっくり返っていたヤツ。
でも、拡大すると後翅に何かある。(黄矢印)
裏面から見ると、ヤスリのような突起物が並んでいる。
裏面から見た「ヤスリ部」の拡大。
対応する位置の、後胸背板の後縁部も堅く張り出している。(上写真の水色矢印)
コリャ、どう見ても発音器だ。
ちょっと調べたら、近縁のベニツチカメムシでは、発音することが知られているそうだ。
セミやコオロギなどの、いわゆる鳴く虫と呼ばれる虫以外でも、虫の世界はけっこう騒がしいものなのかも知れませんね。