旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ちっちゃな狩人蜂

お散歩行けてません。。。
適当に標本箱の虫を貼って今週はおしまい。

オオエンモンバチ Carinostigmus filippovi

f:id:insectmoth:20170105174719j:plain2010.05.09


体長約5mmと小さく、寄生蜂的だが狩人蜂の仲間。
植物につくアブラムシを狩って幼虫の餌にする。

日本蜂類同好会の発行する「つねきばち」3号に
この辺を含むアナバチ型蜂類(アナバチ群)の検索が載っていた。
以下それに沿って解説。

従来の図鑑ではアナバチ上科(ジガバチ上科)Sphicoidea
のアナバチ科(ジガバチ科)Sphecidae 1科にジガバチやアナバチなどのいろんなハチが含まれていたが、
「つねきばち」では
アナバチ科はミツバチ上科Apoideaに含まれ、複数の科に細分されている。
ミツバチ上科はミツバチ群Apiformes(花蜜を集め、体毛が羽毛状のグループ)とアナバチ群Spheciformes(狩人蜂の仲間、体毛は単純)の2群に分けられる。

アナバチ群(日本産7科52属306種)の特徴
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後脚の転節は1節
後翅に翅脈で囲まれた翅室がある。
前胸背板両側後方は肩板まで伸びないが、下方は伸長して胸部前方気門を被う。
(下写真の白いところが伸長部)
体毛は単純で、後脚付節は幅広くならない。
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写真のオオエンモンバチはアリマキバチ科Pemphredonidae に属する。

アリマキバチ科(11属73種)の特徴
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前胸は前方に伸長しない(伸長するのはセナガアナバチ科)
腹部の各節は強くくびれない(くびれるのはフシダカバチ科)
前翅の第1中室は小さく、縁紋と同じ長さか より短い。
(第1中室が大きいものはその他の科になる)
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んで、アリマキバチ科からオオエンモンバチの属、
Carinosigmus属(スジエンモンバチ属)を分ける特徴
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前翅は2個の亜縁室を持つ
触角は頭盾のすぐ上につく
腹部第1節に明瞭な柄がある
前翅に2個の中室を持つ
大きい縁紋を持つ
頬に明瞭な複数の条刻がある
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※つねきばちでは「亜縁室」と表記されていたが、
他の図鑑では普通「肘室 medial cell」と書いてある部分の事である。

上記の特徴が認められればスジエンモンバチ属、
で、日本産のスジエンモンバチ属はオオエンモンバチ1種のみとの事。
なので、写真の種はオオエンモンバチとなりました。

近縁のエンモンバチ属Stigmus(日本産5種)とスジエンモンバチ属の区別は頬の条刻の有無で見分けるので、かなり微妙。

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頬の条刻は丸で囲んだ部分。小じわがありますね。

しかし、、、分類するときに、
キミはほっぺに小じわがあるかな?とか見られるなんて、
当人(ハチ)はすごくイヤだったに違いない。
まあ、死んでますけど。。


おまけ

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オオエンモンバチの顔面。複眼に沿ってはしご状の彫刻がありますね。

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前伸腹節にも複雑な紋様。

ではまた