旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

去年の葉っぱでいいんかい?・・・・トゲキジラミ

シロダモの葉っぱに、少し成長したシャクトリムシが。

f:id:insectmoth:20180103173333j:plain

いつの間にか見かけるようになった。

飼育してみようかな~?とケースに入れ、その後、餌用にシロダモの葉っぱを引き寄せてみると、何だか裏面が粉を吹いたようになってツブツブがくっついている。


f:id:insectmoth:20180103173357j:plain

ぎょえ~!全部虫である。
小さな黄色い幼虫と、親になったばかりの黄色い成虫、あと、少し着色した成虫がほんの少し、

f:id:insectmoth:20180103173424j:plain

みんなウエストがキュッとくびれている。
幼虫のおしりからは珠のような液状うんちとは別に、繊維状のロウ物質(だと思う)を出している。

コンデジではおっつかないので、少し持ち帰って拡大してみた。

f:id:insectmoth:20180103173532j:plain

キジラミの仲間だった。
トゲのような毛の生えた、変わったキジラミだ。
そして、キジラミらしからぬグンバイのような平面的な止まり方。

この子はネットのどこかで見た記憶がある。
カメムシBBS」でワード検索したらすぐ見つかった。
ずるい方法である。間違いを犯す可能性が大きいので、こんな方法で調べては本来はイケナイのである。

ともかく、この集団は トゲキジラミHemipteripsylla matsumuranaと言う種類らしい。

この虫をカメムシBBSで質問をされた、
アーチャーンさんという方のブログに詳しく調べた経緯があった。
勝手にリンク貼ったらまずいかな?まぁいいや。こんなはじっこのブログにリンク貼っても何の変化も起こるまい。
と言うことで、「成城の動植物」というブログのコチラのページです。
(このアーチャーンさんという方の写真は、私から見たら魔法のように美しい写真で、いつもびっくりまなこで見ています。)

ともかく、このトゲキジラミというヤツは、学名が変わったり、所属も諸説あるとのことである。
手持ちの本でHemipteripsyllaが出てくるのは、「日本動物大百科8(平凡社,1996)」。
これによると、Hemipteripsyllaはヒゲブトキジラミ属とされ、ネッタイキジラミ科Carsidaridaeに入れられている。
でも、その後も諸説紛々ということなのだろう。

ネッタイキジラミ科の特徴は、
「前翅の径分脈と中脈の間は擬横脈でつながる」との事だが、
この虫の翅を拡大してもそんな脈は見えなかった。

f:id:insectmoth:20180103173558j:plain


トゲキジラミは虫こぶを作るとのことであるが、特殊な形状のものではなく、葉っぱを巻いただけのごく単純な虫こぶを形成するそうだ。
虫こぶにもそれぞれ名前が付いており、1種類の昆虫が作る虫こぶでも、植物が変わると「ホソバタブハマキフシ」とか「シロダモハマキフシ」などと別の名前が付くそうだ。
今回見たのは、ぜんぜん巻いていなかったのだが、「日本原色虫えい図鑑」によると、「トゲキジラミによるシロダモハマキフシはあまり顕著ではなく、形成されない場合も多い。」とあるので、やっぱりトゲキジラミでよいようだ。

腹面から見ると、前脚の後から口吻が出ており、腹吻群の仲間であることが判る。

f:id:insectmoth:20180103173615j:plain

しかし、新芽が伸び始める前に、こんな風に去年の葉っぱで生活するなんて奥ゆかしい(?)生き物である。