旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

春のカップル1号・・・ニホンハナムグリヨツメハネカクシ

雨上がりの日曜日。
予報は晴れだったが、曇りがちのお天気。
雨の雫が残っており、虫の出がイマイチ。
満開の梅も静かなものである。
がジッと見ていると、、、なんかいる。

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ハネカクシの仲間だ。
花にいるからハナムグリハネカクシの仲間かな?
暖かくなると花にゴマ粒を散らしたようにたくさんいることもある。
フライング気味に出てきたヤツだろうか。

よく見ると、

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ペアだった。
タイミング良くフライング同士が出会ったようだ。

オスメスペアで手にはいるのはちょうど良い。
採集。(鬼畜)

甲虫と言えば、原色日本甲虫図鑑(保育社)全4巻。
本図鑑に載っているハナムグリハネカクシは、、、
ハナムグリハネカクシEusphalerum pollens
ルイスハナムグリハネカクシE.lewisi
ルイスの方はオスの腹部は黒色、とあるのでこれかな?
と思ったが、分布が九州。

今現在の種類数はどうなってるかと
「日本産ハネカクシ科総目録(2013)」を見ると、
Eusphalerum属はハナムグリヨツメハネカクシ属に和名改称されており、
なんと50種!が記録されていた。

素人を絶望の淵の追いやるのに充分の労作である。
ネットで検索すると、無料でPDFファイルが手にはいる。

和名にヨツメが足してあるのは、ハネカクシにも一部の種は2個の単眼を持つ。
複眼と足して四つの目があるのでヨツメハネカクシとつけられたのだろう。
ヨツメハネカクシ亜科 Omaliinae と言うグループに属す。

甲虫類の成虫はほとんどの種が単眼を持たない。が、
衣類の害虫として有名なヒメマルカツオブシムシなんかは
額の真ん中に1個の単眼がある。

50種もいるのに図鑑に2種しか載っていないのでは同定は無理かなぁ、
と思ったが、日本環境動物昆虫学会(略称;環動昆)が発行している雑誌に
環境アセスメント動物調査手法」があり、その22号に
ハネカクシ科甲虫同定の手引き(2012)というのがあった。

以前買って見たときは一部の種の検索しか載っていないので
あまり役に立たないかなぁ、と思っていたが、、、
読み返すとその一部の種にヨツメハネカクシ亜科が含まれていた。
こちらで同定してみた。

オスの背面

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交尾器抜いたので、腹端の1節はありません。

メスの背面

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乾燥して腹部がやや縮んじゃった。

オスの参考画像

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体色と同じなので判りにくいけれど黄色丸印の部分が単眼。
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検索から抜粋(ただし和名はハネカクシ目録に準拠)

ヨツメハネカクシ亜科は5族に分けられる。
そのうち今回の種を含む、
ハナムグリヨツメハネカクシ族 Eusphaleini の特徴。
単眼があり、複眼は良く発達する。
第1~4付節は短く幅広で、下面に長毛を密生する
1~4付節の長さの和は第5付節より長くない。


ハナムグリヨツメハネカクシ族はハナムグリヨツメハネカクシ属1属で構成される。

この属は上翅表面の被毛の有無、印刻で3グループに分けられる。
画像の上翅が被毛するのは、
ケバネハナムグリヨツメハネカクシ種群 Group of E. japonicum とのこと。

本種群のうち、
前胸背板は強く明瞭に点刻される。
頭部の後頬は複眼長径の1/3の長さ。
前胸背板は頭部の幅の1.2倍より少ない。
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と来て、
ニホンハナムグリヨツメハネカクシ Eusphalerum japonicum にたどり着いた。

なお、ケバネハナムグリヨツメハネカクシ種群は、

日本産ハネカクシ科総目録で 13種、
環境アセスメント動物調査手法22では 11種しかなく、
環境アセスの検索には
アキヨツメハナムグリハネカクシE.eifleri
ヤマハナムグリヨツメハネカクシE.floricola
の2種が含まれていなかった。

ともあれニホンハナムグリヨツメハネカクシは普通種のようなので、
間違いないだろう。と思う(弱気)。

環境アセスのハネカクシ科甲虫同定の手引きは
チビハネカクシ亜科とヨツメハネカクシ亜科に関しては
2012年時点での全種検索があるので、かなり有用かも。
日本語だし。<--私的にこれ重要)

おまけ
ニホンハナムグリヨツメハネカクシの♂交尾器

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なんか内袋に骨片が見えるけど、小さすぎるので反転させることが出来なかった。

ではまた。