我輩は樹皮である
蛾と言うのは、大部分が夜行性で、
昼間は隠れてジッとしている。
で、視覚で獲物を探す外敵に見つからないように、
目立たない模様をしているものが多くなる。
廻りの模様に似せて隠れることを、
「隠蔽擬態(いんぺいぎたい)」と言うが、有名処では、
その名もズバリのキノカワガがいる。
いるのだが、結局多くの地味系の蛾がこれに当てはまるだろう。
と言うことで、お散歩コースのアベマキの幹。
真ん中に蛾が止まっている。
こんなものを見つけられるのは、かなりの虫好きか、
よっぽどの虫ギライかのどちらかであろう。
(言うまでもないが、私は前者)
拡大。
シロテンエダシャクCleora leucophaea
春早くに発生する、ごく普通の蛾。
こういうのを見ると、ムシケラと言えども、
自己と廻りの環境を把握しているんだろうな、
と思う。
うまく影のでないところに隠れたものだ。
イヤ、隠れてはいないか。
こちらが判らないだけで、丸見えの場所だもの。
おまけ。
シロテンエダシャクの幼虫
黄褐色で波状の縦線が走る。
第2腹節の気門直上(矢印部)に、小隆起があることが特徴。
幼虫は5~6月頃に見られ、体長40mm前後に達する。
普通種でありながら、夏から冬を越す長い休眠期があるので、成虫まで飼育確認される例は少ないとのこと。
実は、この写真の個体も、羽化までには至らず、休眠中に死んでしまった。全て私の不徳の致すところである。
まあ、日本産蛾類生態図鑑の記述と一致したので、そうだと思っている。
ではまた。