旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

垣根付きの繭

元旦早々に飼育ケースの蛾が羽化した。

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スカシコケガ Nudaria ranruna

幼虫は昨年の暮れ、金網の枠に止まっていた。

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スカシコケガ Nudaria ranruna の終齢幼虫。2015.XII.20
体長は13mm前後だったと思う。薄緑色のきれいな幼虫。

採集時点では、毛虫、背腺がない、腹脚の鉤爪が異規的縦帯であることから、
ヒトリガ科の何かだろう、までは予想した。

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ちょっと写りが悪いけれど、スカシコケガ Nudaria ranruna の終齢幼虫の腹脚。
縦に鉤爪が並ぶのだけれど、中程の爪と端の爪の大きさが極端に違う。

何を食べるのか分からないので、周辺にあったササ、アラカシ、ヤブニッケイ、地衣類を少量ずつフィルムケースに入れて様子見。
結果、何も食べずに4日後に蛹化した。

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スカシコケガ Nudaria ranruna の蛹。約6mm。

後で図鑑を確認すると、食樹はアラカシ、ミミズバイ、ヒサカキ、サカキの生葉、と書いてあった。
コケガ亜科はコケや地衣類を食べるものとばかり思っていたけど、例外的にこんな種類がいるようだ。

オモシロいのは幼虫時の毛を繭に利用すること。

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柵を立てるように周囲に並べている。

幼虫時の毛を繭に利用するのは、同じコケガ亜科のアカスジシロコケガにも見られる習性である。

ケースの底に落ちていた脱皮殻。

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繭の糸が非常に粗いので蛹化したときに落ちてしまうようだ。

晦日に見ると発生が進んでいた。

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口髭蓄えた細長いおじさんの顔、みたいな?

で、冒頭の元旦に戻る。

ところで、スカシコケガによく似たウスバフタホシコケガ Schistophleps bipuncta は食草不明だそうだが、本種も生葉喰いなのだろうか?

 

2020.I.25 追記

ウスバフタホシコケガの繭を見つけたので新ブログに貼っておきました。

imomushiunti.blogspot.com



ではまた。