ねらねら系いもむし・・・ハチ編
ハチと言っても刺さない方のハチ。
葉っぱを食べるハバチの仲間。
日曜日、コナラの葉っぱが表皮だけ残して食べられた跡を見つけた。
食痕の新しいものを裏返して見ると、、、、
ナメクジみたいな幼虫。
横から
太い方が頭部。
ねらねらの粘液をまとっているのは背面だけのようだ。
葉っぱにナメクジみたいな粘液の這い跡も無いし。
皮膚の表面構造が背面と腹面で異なるのだろうか?
胸脚3対と腹脚がいくつか見える。
この時点で双翅目と鞘翅目は除外できる。
恥ずかしそうにうつむいている所を
ムリヤリ葉っぱを曲げて顔を見る。
黒く縁取られた個眼が1対だけ認められる。
個眼が6対の鱗翅目幼虫は除外できるので
残るのは膜翅目、つまりハチの幼虫と予想される。
学研の「日本産幼虫図鑑」を見ると、
こんな粘液をまとう幼虫として、
コナラナメクジハバチ Caliroa oishii が紹介されていた。
クヌギ、コナラ、ミズナラなどが食樹で分布は本州、ロシア極東域。
年2化するそう。
ナメクジハバチとは見たまんまの名前である。覚えやすい。
学名の種小名がoishii なんだけど、
「美味しい」である可能性は限りなく低そうなので
たぶん人名から命名されたものだと思う。
それはさておき、ナメクジハバチ属 Caliroaは、日本産は9種で他に
オウトウナメクジハバチ Celiroa cerasi (サクラ、ナシなどの害虫)の他、モモ、ケヤキ、ミツバウツギ、ナツハゼを食べる種がそれぞれ知られている。
そうだ。
ネットの「日本産ハバチ・キバチ類WEB図鑑」を見てみる。
このサイトは移転中で図版のページは準備中のものが多いが、
目録のページは一通り完成している。
これによるとナメクジハバチ属は11種に増えていた。
食樹にコナラが含まれるものはコナラナメクジハバチの他に
ナラムレナメクジハバチ Caliroa nara (北海道、本州、朝鮮半島)
と
ハグロナメクジハバチ Caliroa annulipes (本州、シベリア、ロシア、ヨーロッパ、カナダ)
がいるようだ。
このうちナラムレナメクジハバチは幼虫が群れを形成するので、写真の種では無さそう。
あとのハグロナメクジハバチは多食性のようで、ツツジ科スノキ属、カバノキ科カバノキ属、ブナ科ブナ属コナラ属、バラ科、ヤナギ科、シナノキ科などが記録されているようだ。
今回見かけた幼虫は、コナラナメクジハバチかハグロナメクジハバチのどちらかだろうと思う。
たぶんコナラナメクジハバチだろうと思います。
成虫がいたら判るかもだけど、せいぜい5・6mmほどの小さなハバチで発生期も短そうなので、今後会える事があっても先の事になりそう。
ではまた