山にも家にも春が来た?
2月最後の日曜日。
先週は春のような陽気が続いたので、
お散歩コースはどんなもんかいのう?と行ってきた。
陽当たりの良い尾根筋にあるコバノミツバツツジは、株によっては満開状態。
だが、天気は下り坂なので、虫達はいなかった。
ネジキの赤い枝の先からは、緑色の新芽もふいていた。
神戸の冬は終わったのだろうか?
植物達はフライング気味のような気がする。
まだ寒い日が何回か来そうな気がするのだが。
などと考えながら、虫の収穫は無いまま自宅に戻ると、飼育中の蛾が1匹、羽化していた。
グミハモグリキバガ Apatetris elaeagnella
今度はチイサナ蛾。全長4mmほど。
字書き虫(絵描き虫)の親である。
室内保管だと、どうしても早めに羽化してしまうようだ。
このひとは、昨年の10月にナワシログミの葉っぱに潜っていた所を持ち帰ったものだ。
スタート地点に産卵された卵から孵化し、
だんだん食い進んで、ゴールのあたりまで食い進むと、
だいたい成熟する。
孵化の際は、卵の、葉っぱに付着した面を食い破って、
外に出ることなく、直接葉っぱの中に潜っていく。
スタート地点の卵殻の拡大。
卵の長径約0.3mm。
萎びてはいるが、見える部分には破れ目が無く、
卵殻の下部から、直接トンネルが延びている。
生き残るための、ちょっとした工夫である。
そして、表皮を残して、器用に葉肉だけを食い進んでいく。
透かしてみると、ペチャンコのチビいもむしが見える。
うんちは、トンネルの後方。外には出さない。
この種類は成熟すると、トンネルから出て、すぐ脇の葉裏に繭を紡ぐ。
グミには「星状毛」と言う放射状に拡がった毛が、葉裏を一面に覆っている。
ナワシログミでは、この星状毛が多く、2層になって重なりあっている。
チビいもむしは、この星状毛の2層の間に器用に繭を作っていた。
羽化後の蛹殻が出てきた。
完璧なカムフラージュである。
さて、この蛾はキバガ科であるが、キバガの特徴であるキバ(下唇鬚:かしんしゅ)が全然目立たない。
これのどこがキバガだろう?と思うくらいだ。
ただし、もうひとつの、後翅の外縁がえぐれる、と言う特徴は、しっかりある。
左後翅を拡げた画像。
と言うか、えぐれすぎだって!
最初、奇形かと思ったが、左右とも同じだし、
2匹羽化してどちらも同じだったので、
この状態で、普通のようだ。
これを見るのに、1匹ばらしてしまったので、
翅脈の観察用に鱗粉を取ってみた。
*大きな画像をフォトアルバム「写真で見る昆虫用語 蛾について」
に貼っておきます。(久々のアルバム更新。。。)
画像はコチラ→「グミハモグリキバガの翅」
移行したので直接上に大きな画像を貼ってます。