冬芽に潜むいもむし。
冬空に鮮やかな赤いネジキの枝と芽。
その冬芽の付け根に細かい粒が固まっていることがある。
何年か前、一度分解してみたら
小さな4㎜程のいもむしが潜んでいるのを確認した。
その時は飼育しようもなく死んでしまった。
で、果報は寝て待て、と言うことで冬の間に見つけた食痕付きのネジキの枝に
目印のモールを巻いて自然に任せることにした。
普通の昆虫採集ではモールは使いどころの無いアイテムであるが、
毎度毎度同じ所を歩いている私には役立つアイテムなのである。
いつ頃孵化するのかは判らないが、冬の間も少しずつ成長するようで
間をおいて見ると糞が増えている。
拡大して見るとうんちの大きさに2種類あるので
脱皮して成長しているようだ。
3年ほど前にそうして目印をつけた枝を、
3月頃の新芽が伸び始めた頃に集めて湿らせた砂に刺して様子を見た。
このときの幼虫は以前より少し成長した状態。
ところが、忙しさにかまけて観察を忘れてしまい、
気が付いたときには羽化した形跡はあったが全体にカビてしまいアウト。
枯れないようにビニール袋を被せていたのがいけなかった。。
菌糸にまみれた死骸にアルコールを垂らしてシルエットを見るにどうもハマキガっぽいことまでは判った。
で昨年3度目の正直、懲りずに目印をつけた。
今度は目印をつけたことを忘れかけたが、
4月上旬、思い出して見て回ると
目印のつけた枝先の新芽だけ綴られている。
移動している現場を確認していないので何とも言えないが、
冬芽に潜っていたいもむしが新芽に移ったと考えていいと思う。
さてさてその枝を持ち帰って水入り小瓶に刺して
立てたプラケースに入れておいた。
3度目の正直で5月下旬に羽化確認。
白っぽいヒメハマキが羽化した。
図鑑の絵合わせでは ニセシロヒメシンクイ Spilonota albicana
展翅した状態。
ニセシロヒメシンクイ Spilonota albicana 前翅長は約6㎜。
図鑑を見ると、バラ科やネジキの記録があるので間違いないだろう。
学研の日本産蛾類標準図鑑の解説によると、
講談社の日本産蛾類大図鑑でシロヒメシンクイとして
図示(Plate26、fig16,17)されている種類は別々の種類で、
fig16がニセシロヒメシンクイ、fig17はハシバミシロヒメハマキS.prognathana (カバノキ科の新葉を綴る)とのこと。
さらに、従来シロヒメシンクイ(別名リンゴシロシンクイ)S.albicana とされていた種は
リンゴを加害せずサクラやネジキに付くことが判り、
リンゴの害虫として知られる和名「シロヒメシンクイ」はリンゴにつく種類にあてられ(ただし学名は未決定)、
S.albicana には新たにニセシロヒメシンクイの和名が与えられた。とのこと。
ややこしすぎる!
ではまた