手持ちの材料で何かやってみよう
と言うことで、、、
棚の奥で眠っていたキイロスズメバチの巣板でトラップをかけてみることにした。
巣板は以前記事にしたオオスズメバチに襲われてもぬけの殻になったもの。
こんな変なものを誘引剤に使ってトラップをかける人はいないだろうから変なものが採れるに違いない。
違いない。
ない。。。?
さて、
A4のクリアホルダを2枚用意し、1枚は拡げてロート状にし、角を切って落とし口の穴にする。
もう1枚は一辺を切って平らに拡げて雨避けにする。
あとは広口のねじ蓋になった小振りのコーヒー缶に濃い食塩水を入れ、洗剤を垂らす。
これでロートの下に置いて落ちてきた虫を回収、保存する。
本当は保存液にはエチレングリコールなどの蒸発しにくいアルコールを使うのが本式。
こちらは毎週通ってる場所なので食塩水程度で充分。
で、これ3週間前(9/20)山にセットしてきた。
まず穴を掘ってコーヒー缶を埋めてから蓋を取る。
埋めるときに蓋を閉めたままにするのは余分な土等が入らないようにするため。
で、缶の蓋を取ってから巣板を入れたロートを乗せる。
雨除けのカバーはホチキス留め。
完成
こんな感じ。
1週目はミズアブ科の幼虫が少々。ダメじゃこら。
2週目。間に雨が降って巣板が適度に湿ったのか、色々入っていた。
ヨメが捨てたストッキングで作った網で食塩水を濾してタッパーに入れて持ち帰り。
水洗いして仕分けした。
とりあえずこんな結果。
升目は7㎜。
何だかスズメバチの巣は全然関係なさげな面々である。
右上はオオハリアリ Pachycondyla Brachyponera chinensis
2016.12.20注)博多権三さまより、オオハリアリの属名は最新の知見では Brachyponera に移動されているとのことです。ご指摘ありがとうございました。
左上はマルキマダラケシキスイ Stelidota multiguttata
落葉下でよく見られる普通種らしい。
拡大
マルキマダラケシキスイ Stelidota multiguttata
中上の3個体は上が無翅のノミバエ科♀
変な形ですが顔はノミバエしている。
♀が無翅のノミバエのグループは♂が抱えて飛んで移動するようだ。
その下がハケスネアリヅカムシみたいなの、と隣の微小なのはムクゲキノコムシ科の1種。
下右はミズアブ科の幼虫。
一番多かったのが下左のマメダルマコガネ Panelus parvulus
拡大
マメダルマコガネ Panelus parvulus 背面
丸っこくてカワイイ虫だけど糞虫の仲間。
動物の糞を食べるグループ。
マメダルマコガネはそれほど珍しい種類ではないが、普通にコップを埋めただけよりはたくさん落ちているので、巣板の何かに誘引されたのかも知れない。
そう言えば、細腰亜目のハチの仲間は幼虫時代は食べるばかりで排泄をせずに成長し、蛹化するときに初めて糞をするそうだ。スズメバチ科の場合、その糞は巣室の底にべったりと貼りついているので、そういったものが誘因源になったのかも知れない。
特にスズメバチの幼虫は肉食なのでその糞も糞虫にとったら栄養たっぷりなのかも?
ファーブル昆虫記に出てくる糞虫のスカラベは糞玉を作って転がすことで有名ですが、日本産の糞虫はファーブルに出てくる糞虫みたいに糞玉を作って転がす種類はほとんど知られていない。
唯一このマメダルマコガネを含むPanelus属だけは糞玉を造って転がす習性を持つそうだ。
私も一度だけそれらしい状況を見たことがある。
デジカメがこの世に存在しない20年ほど前、足元を何か動いているのに気が付いてしゃがんでみたら、マメダルマコガネがやや不定形の球体を抱いてじっとしていた、ということがあった。
当時はそんな習性は知らなかったのでスルーしてしまった。
もったいないことをした、と今更ながらに思ったり。
それはともかくカワイイのでもう1枚。
マメダルマコガネ Panelus parvulus
頭は鋤の付いたスコップみたい。
おまけ
マメダルマコガネ Panelus parvulus 腹面
中脚基節の付き方がオモシロイ。縦になってる。
ではまた