旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

スズメバチ対スズメバチ

今週は連休なので土曜日からお散歩三昧。
普段通らない脇道に行くと、
頭の上で「ブォーン、ブブッ、パチン、」とか音がする。

ビビりながら姿勢を低くしてソオォッと見上げると、
直径40cmはあるスズメバチの巣があるでわないか!!

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キイロスズメバチVespa simillima の巣



幸い巣の位置が高く距離があったので、
こちらに飛んでくるハチはいない。
しかし、さっきのパチン、と言うのは
大顎を鳴らすスズメバチ特有の威嚇音のはず。

なのにこちらに飛んでこないのはなぜ?

良く見ると、巣の様子がおかしい。

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キイロスズメバチの巣の出入り口は普通、直径2センチぐらいのはずだが、
件の巣は左上の部分がごっそり開いている。
さらによ~く見ると、ハチの大きさに2種類ある。

こ、これは!本で読んだことのある、オオスズメバチの襲撃現場ではないか~~!

写真でオオスズメバチとハッキリ判るのは赤矢印の個体。
黄色矢印と他の個体はキイロスズメバチ
しばらく見ていたが、
少なくとも10個体前後のオオスズメバチが出入りしているようだ。

遠いうえに曇っていて暗いので良く見えないが、
キイロスズメバチ側に反撃する個体が見当たらない。
戦闘能力のあるものは既に殲滅状態で、
羽化したばかりの個体しか残っていないのかも知れない。


スズメバチ界最大種のオオスズメバチ
秋になって餌資源が少なくなってくると、
こんな風に集団で他のスズメバチの巣を襲うことが知られている。
他のスズメバチでもミツバチの巣の前とかで、
単独で働き蜂を狩っていくのは見られるが、
このように集団で襲う行動はオオスズメバチ固有の習性だそうだ。


翌日の日曜日、もう一度見に行ってみた。
近くの急斜面をよじ登って、横から見てみたが、

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巣にはキイロスズメバチは見当たらず、
オオスズメバチが見張りをしていた。

巣の下を見てみると、

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触角や脚を切られたキイロスズメバチ


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首ちょんぱされたキイロスズメバチが転がっていた。

しばらく見ていると、オオスズメバチがやって来て、

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ちょこっと揉み合ったかと思う間もなく頭をひと咬み。

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こりゃ太刀打ち出来んわ。

ものの本によると、殺した働き蜂は腐る前に肉団子にして持ち帰り、
巣の中の幼虫や蛹は必要に応じて抜き取って帰るそうだ。

確かに巣の下にはほとんどキイロスズメバチの死体は見あたらなかった。

これでしばらくは餌に困らない状態が続くのだろう。

オオスズメバチの巣ではこういうときに幼虫を大量に育てておき、
餌不足に陥ったときは、自らの幼虫を成長の進んだ幼虫に与えて育て上げるそうだ。

自分の子供まで保存食扱いとは、鬼子母神以上ですな。

付記
スズメバチアシナガバチなどの社会性蜂類は、
巣に近づくと攻撃してくるが、
オオスズメバチに限っては、制圧したハチの巣や、
樹液酒場などの餌場でも縄張りを張って近づくものを攻撃する。
なので、
こういうところに近づくのは自殺行為なので、
よい子はマネしないように。

ではまた。