旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ツツハナバチの便乗ダニ

ゴールデンウィークの初日は、パソコンのセットアップと死にかけのパソコンからのデータのサルベージで、1日潰れてしまった。


なので、日曜日の虫から。

ムラサキハナナやムラサキケマンの花に留まっていたハチ。

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なんだか元気がないので、手をそおぉっと近づけると、指に乗ってきた。
天気の良い春だと言うのに、覇気のないヤツ。とよく見ると、なんかブツブツに取り付かれていた。

持ち帰って拡大してみた。
顔面を下から見ると、頭盾に角が生えている。

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リンゴ農家に必需品のマメコバチ(コツノツツハナバチ)によく似ている。
が、マメコバチの角の間隔は広いそうだ。

受粉用の重要昆虫としてメジャーになったマメコバチはネットに画像がたくさんある。
それらと比較すると、こちらの子は角の間隔が狭いので、

ツツハナバチOsmia taurus で良いようだ。

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翅にペタペタ貼り付いていたのは、ダニ。
胸にも10数個体くっついていた。

へたっぴプレパラート

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一目盛りが0.025mmなので、体長は約0.4mm。
ダニは便乗世代の第2若虫。ツツハナコナダニの仲間だ。
ミツバチ大量死の原因のひとつとされるアカリンダニとはまた別種。

第4脚は小さいが、足先に毛が3本、1本は非常に長い。(上司によると、ケモノなどの毛の生えた生き物に便乗するダニによく見られる特徴とのこと。ツツハナバチも毛深いな。たしかに。)

サイニィで検索すると、「Two New Chaetodactylus(Acari,Chaetodactylidae)Associated with Osmia(Hymenoptera,Megachilidae)in Japan(日本産ツツハナコナダニの2新種)」が拾えた。

それをツラツラと眺めると(英文なので読めない。眺めるだけ。)、
どうやら学名はChaetodactylus nipponicusで良いようだ。
この論文では和名は提唱されておらず、ちゃんとした和名はまだ無さそうだ。


肛吸盤の拡大

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ブタ鼻のヨザル??
というのは冗談で、肛門の周囲にある吸盤。
肛吸盤という。

体の掃除が好きなハチに付くためか、肛吸盤がよく発達している。
吸盤で取り付くため、翅のような平滑なところを選んでいるようだ。
ハチにしてみれば、こんなところにくっつかれたら、
飛びにくくってしょうがないだろう。

人家に住むチリダニ類の♂成虫にも、この肛吸盤が発達しているが、
コチラは交尾の際に♀をくっつけて離さないようにするためで、
目的が全く違う。
カビを食べるナミホコリダニの♂では、第4脚が発達しており、
最終脱皮前の動かなくなった♀の若虫を見つけると、
背中に担いで、おんぶしたまま動き回っている。


さて、このツツハナコナダニは、
有用昆虫のマメコバチにもつくため、
生活史もよく調べられている。

便乗型の第2若虫はこのまましばらく過ごし、
ハチが巣を造り出すと巣に移り、
ハチが我が子のために作った花粉団子を食べて増えていく。
やがて花粉団子はうごめく粉だまりと化すそうだ。

その後、別の部屋で無事に成長したハチに取り付き、
移動を繰り返すそうだ。

ただ、あまりたくさん取り付くと、
ハチが飛べなくなって共倒れになるそうだ。

寄生生活もほどほどが大事である。