旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

陸に上がったユスリカ

この土日は春を思わせる陽気であった。

成虫越冬組の、ハエ・アブがあちこちで日向ぼっこしていたが、春に出る虫達はまだ見かけなかった。

しかし、先週まで見掛けなかったもので、クモの巣があった。

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クモ自体は、冬の間でも藪を叩けば見掛けたのだが、巣を見たのは今年初めてだ。

で、その巣には、早速獲物が掛かっていた。
その獲物を拡大して見ると、どうやらユスリカの一種のようだ。

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クモの方は私にはサッパリ判らない。

ユスリカの仲間は日本に1000種以上分布しているとされ、そのほとんどの幼虫が水中生活をする。魚の餌で、「アカムシ」が売られているが、あれはユスリカの幼虫である。

だが、このクモの巣があったのは、水気のない山のてっぺんである。

実はユスリカの中には、幼虫が陸棲生活を送るものがいる。
実際、水気のないお散歩コースでも、葉裏に止まっているのをよく見かける。

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写真は触角がフサフサなので、♂。体長2mm程度の小型の種類。

一般には十把一絡げで羽虫と呼ばれてしまうような奴等だ。

ところで、ユスリカの分類は、双翅目の中では進んでいるほうだ。
検索表なども、属までなら市販の図鑑類に載っている。
「日本産水生昆虫」
「ユスリカの世界」 など。

ただ、この検索表を使いこなすのが、素人には大変である。

以前チャレンジして玉砕したことがある。

で、よせばいいのに「一寸のハエにも五分の大和魂」で話のついでにホンのちょこっと愚痴をこぼしたところ、上記の図鑑のユスリカを担当された著者の先生から、丁寧な返信をいただいてしまった。
私は結果的に無礼千万なことを言ってしまったわけで、おおいに恐縮した次第。m(_'_)m

で、その返信の要点は、
・最初は誰でも解らない。
・検索表には図を多用して、出来るだけ分かりやすいように努めた。
・陸棲のユスリカには、ビロウドエリユスリカSmittia、ニセビロウドエリユスリカPseudosmittia、マドオエリユスリカBryophaenoclasiusAntillocladiusと言った属と、他にムナトゲユスリカ Limnophyes属の一部にも知られている。


ヒントまで戴いたので、性根を据えて、見直すことにした。

以前調べたときは、実体顕微鏡で40倍程度の倍率で直接観察したのだが、今回は
解剖し、、、、、
プレパラートにし、、、、、
光学顕微鏡を使って100倍以上で観察してみた。
すると、以前つまずいたところが判明。

例えば、
複眼の個眼間には毛を生じる、とか、

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触角の先端には長い毛を生じる、など。

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こりゃ、ズボラして低倍率で観察しただけでは、判らんワイと思った次第。

なんとか道を外さずに検索した結果、
ビロウドエリユスリカ属の一種Smittia sp.であることが判明。(^-^)b

ゼーハー。。。。。。
あ~しんど。(←関西弁で「あ~疲れた」の意)


おまけ画像

♂交尾器

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翅脈

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「胸部中刺毛の生え際は明瞭な淡色となる」の図

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(中刺毛自体は抜けてしまっています。)

それでは。