旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

まだらのひも

風がなければ暖かかった日曜日。
今シーズンお初のフユシャク♀。
桜の樹にいたので、たぶんウスバフユシャクInurois fletcheri

お腹がペチャンコのや

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まだ卵がおなかに入っている感じのポッテリしたのが、

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風に耐えて頑張ってました。
Inurois属の♀はフユシャクと呼ばれる蛾の中でも、翅が完全に退化している。目に見えるような翅はどこにも見えない。

さて、これらのフユシャクがいたのは、生きている桜の樹であるが、近くの枯れた桜の幹には別のものがいる。



直径2mm、長さ5cm程のまだらのひもがポツポツとぶら下がっている。

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その中のひとつは、幹に生えたキノコに伸びて、明らかに食痕を残している。

このひもは、ミノガ科の一種の巣だ。名前はまだ無い。
通称ヒモミノガ

このグループの研究者がいないため、細かい所属が決定されず、学名がない状態がずーっと続いている。
私が初めて見たのは、今を去ること25年以上前。
そのころから「ヒモミノガ」と呼ばれていた記憶がある。
学名が無いからと言って、珍しい種類であるということは決してなく、結構あちこちで見つかる。
このひもは枯れ木の樹皮の中まで続いており、幼虫は普段樹皮下に潜んでいる。
で、樹皮下の朽ち木を食べたり、ひもの中を通ってキノコを食べたりして暮らしているようだ。


幼虫の側面図。

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普通のミノムシの体型である。ひもに合わせて細長いわけではなさそうだ。


ちょっと拡大しすぎて「埴輪」みたいになってますが、腹脚の拡大。

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鈎爪は基本、単列環状の配列だが、縦に押しつぶされて2列横帯に見える。
巣の中を前後に動くだけだから、これが便利なのかも。


一昨年、持ち帰ったものから羽化した成虫。

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ミノガ科の中では、結構シブイ模様があって美人である。

翅の濃淡には結構変異があるようだ。
「みんな蛾」の該当ページ(成虫写真5,15,17,18)を見ると、ウグイス色から濃紺までいろいろである。同一種なのかどうかも判らない。
どうにかならんもんかいねぇ?