旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

0.7mmのおすもうさん

さて、前項で予告したとおりダニです。

リキシダニの1種Ceratoppia sp.

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ツルピカの太鼓腹で、いかにもあんこ型のおすもうさんといった風情である。(でもササラダニ類は丸こくてツルツルした種類がけっこう多いんだけど。)
特徴がわかりやすいように斜めの画像。

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胴体部後方には前向きにはねあがった一対の毛がある(黄矢印)。
おすもうさんがそんきょする時、ふんどしの前垂れを左右に広げてしゃがみます。この様子と跳ね上がった毛が似ていることから「力士」ダニと名付けたそうである。

ササラダニ類の体は背中から見ると中程にしきりがあるように見え、前方を前体部、後方を後体部と呼びます。もちろんこれは、昆虫の頭部や腹部のように構造的に分かれているわけではなく、見かけだけのことです。
中には関節になって折りたためるようになっている種類もいます。
(以前紹介したイレコダニ科など)

この前体部には骨組みのような1対の縦長の隆起部があり、桁(けた)と呼ばれる。リキシダニでは、この桁(けた;赤矢印部)の遊離部が角状に突き出しているのがカッコイイ。


例によって備忘録的書き込み。

リキシダニはセマルダニ科に属する。
セマルダニ科の特徴は、後体部が卵形~球形で、桁は細くほぼ平行に伸びることなど。

セマルダニ科Metrioppidae既知種
(日本ダニ学会誌 第2巻 増刊第1号(1993) 日本産ササラダニ類目録より抜粋)

ミナミリキシダニ属Austroceratoppia
後体部後端の毛は長く、腹面の横溝は生殖門の後方を横切る。
ミナミリキシダニAustroceratoppia japonica本州、徳之島、奄美大島

リキシダニ属Ceratoppia
後体部後端の毛は長く、腹面の横溝は生殖門の前方を横切る。
リキシダニCeratoppia bipilis北海道、本州、九州、対馬隠岐島後、大島、三宅島 0.75~0.93mm
ヒメリキシダニCeratoppia quadridentata北海道、本州、九州、隠岐島後、大島、姫島、西表島屋久島、三宅島 0.62~0.66mm
キレコミリキシダニCeratoppia incisa京都
ムツゲリキシダニCeratoppia sexpilosa北海道、大黒島、本州、三宅島

キノボリササラダニ属Dendrozetes
後体部後端の毛は短くやや太まる。
キノボリササラダニDendrozetes caudatus北海道、本州

セマルダニ属Metrioppia
後体部後端の毛は短く細い
ヨツゲセマルダニMetrioppia quadrisetosa北海道
セマルダニMetrioppia tricuspidata本州、式根島・三宅島

(注;本州の詳細な記録都道府県は割愛、たくさんあってメンドかった。)