オニドコロの実に潜む者。
秋深しの日曜日、
オニドコロの実がたくさん下がっていた。
オニドコロの実は上向きにつくのが他のヤマノイモ科から区別する点のひとつ。らしい。
さて、そのオニドコロの実に食害が見られたので持ち帰ってみた。
まずはこんな幼虫。
ヒメハマキの1種。
種類は親になってみないと判らない。
この子は想定外。
実を透かして見る。
これは普通に種子が入ってる。
こちらは、、、
いもむし入り。
トコロミコガ Acrolepiopsis issikiella の幼虫
アトヒゲコガ科Acrolepiidae に属す。
実をバラして中身を示す。
古い図鑑では本種は年一回の発生で、幼虫はヤマノイモ科の実に潜り、秋に羽化した蛾は成虫で越冬する、と書かれていたが、
実際には、越冬した成虫は春に産卵し、幼虫はヤマノイモ科の新鞘や茎に潜って成長し年数回発生する事が判っている。
文献はコチラ(リンク先はpdf注意)
「トコロミコガ(鱗翅目:アトヒゲコガ科)の多化性の確認と幼虫の寄主摂食部位」
その文献によると、トコロミコガの幼虫は刺毛ソケットの周囲が黒く着色することで他のアトヒゲコガ科の近縁種から区別可能とある。
今回の幼虫の背面拡大
確かに黒い。
あと、アトヒゲコガ科の特徴として、腹脚の鈎爪が環状でその内側に数本の鈎爪列を有する、というのがある。
腹脚の拡大。
こういうこと。
おまけ
以前飼育で得た成虫。
トコロミコガ Acrolepiopsis issikiella 2009年11月
他の近縁種と比べて白斑は丸みがあり大きめ。
その時の羽化後の繭
編みカゴ状のスケスケ繭。
編みカゴ状の繭はアトヒゲコガ科の特徴でもある。
ネギにこんな繭がついていたら、たぶんそれはネギコガの繭である。
ネギコガもアトヒゲコガ科。
でもキャベツ系の野菜に似たような繭がついていることがあるが、そちらはコナガと言うナガ科の繭である。
ではまた