旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ミナミハネオレホソバエ

日曜日、林の中のお地蔵さんに見慣れないハエが歩いていた。
取りあえず写真を2・3枚撮って確保。

が、歩いているのを日陰の自然光で撮ったので全部ピンぼけ。。。

ということで標本写真。

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ミナミハネオレホソバエ Strongylophthalmyia crinita

顔。

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触角第3節は淡色で毛も白いのでよく目立つ。
小顎鬚(maxillary palpus)にはうろこ状の毛が生えている。

前翅

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肩切目は無いがSc切目はある(矢印)。

無弁類のハエというのは判るが適当な科を思いつけない。
強いて言えばハネオレバエ科が近いけど折れ目が見当たらない。
同科でネットを検索しても出てこない。

仕方がないので北隆館の改訂版日本昆虫大図鑑3巻の検索表をたどる。
するとハネオレバエ科の近くの
マルズハネオレバエ科 Strongylophthalmyiidae に行き着いた。

そこで論文検索サイトの「CiNii」でStrongylophthalmyiidaeを検索すると、
The Genus Strongylophthalmyia HELLER (Diptera, Strongylophthalmyiidae) from Japan, with Descriptions of Two New Species」というのがヒットし、
論文をつらつら眺めるとミナミハネオレホソバエ Strongylophthalmyia crinita と同定できた。

論文の英語を超訳すると、上雄板付属物が奇妙に屈曲する、と書いてある気がした。
交尾器の図版をみると、左右不相称な突起がくにょくにょ伸びているのが描かれている。

採集品の腹端部側面

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矢印部がそのへんてこな突起。

同じく後方から

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乾燥して突起が交差しているが左右不相称なのが判る。

ところで、、、
和名が判ったところであらためてネットを検索すると
いつも見に行ってる明石の虫サイト「明石・神戸の虫 ときどきプランクトン」に同種と思われるものがすでに紹介されていた。
該当記事->「ハネオレホソバエ科の一種(?ミナミハネオレホソバエ Strongylophthalmyia sp.)

見ていたはずなのにすっかり忘れていた。。。
美しい生態写真を見たい方は上のリンクをクリックしてください。

科名はハネオレホソバエ科になっているが、マルズハネオレバエ科の旧名で同じStrongylophthalmyiidaeのことである。
というかマルズハネオレバエ科が北隆館の改訂版の図鑑で初めて使われている新称である。


ではまた