エゾギクキンウワバの蛹。
10月下旬にチヂミザサの穂に作られていた繭。
中身はまだ前蛹状態の幼虫。
今週早々に羽化した。
エゾギクキンウワバ Ctenoplusia albostriata だった。
本種は毎年南方から長距離移動するようであり、特定のステージでの越冬習性が無いようで、変な時期に成虫を見ることがある。
正面から
新鮮で鱗粉がたくさんあるうちはトサカみたいに立っている。
羽化後の繭
を切って蛹殻を出してみた。
角度を変えてもう1枚。
蛾や蝶の蛹の腹端部には糸に引っかけるための鉤状の刺毛がある。
これを含めた尾端部の突起を cremaster(尾突起)という。
幼虫が糸を吐く昆虫に特有の構造である。
尾突起の拡大。腹面から
尾突起の拡大。背面から
ついでに側面からも。
尾突起と言えば、以前記事にしたクロスジアオシャクやスカシカギバの尾突起を超える形のものをなかなか見ない。
過去記事-->「蛹の尾突起」
おまけ
尾端部腹面
鱗翅目の多くの蛹では肛門と交尾器開口部が認められる。
交尾器開口部は♂では第9腹節にあり、腹節同士の継ぎ目は割と直線的。
♀は腹節が引きつれたようになり交尾器開口部は第9腹節から第8腹節にずれ込んだように見える。
これで蛹の性別はだいたい判る。
ということでこれは♀個体である。
ではまた