旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

正月でもないのに出初め式、みたいなハチ

日曜日、目の前を丸っこいハチが飛んで
柵の向こうのキュウリの蔓に止まった。

ううう、遠い。

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等倍でトリミング。

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スジボソフトハナバチ Amegilla florea

和名は古い図鑑ではスジボソコシブトハナバチとされている。
新しい図鑑で改称されている。

例えば、
「南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説(北海道大学図書刊行会.1999)」ではコシブトハナバチ科 Anthophoridae のスジボソフトハナバチ、
なのに
「新訂 原色昆虫大図鑑III(北隆館.2008)」ではコシブトハナバチ科のスジボソコシブトハナバチ、
になっている。これは改訂前の和名を踏襲しているのだろう。

去年発行の
「日本産ハナバチ図鑑(文一総合出版.2014)」ではコシブトハナバチ科は亜科に格下げされ、ミツバチ科 Apidae に統合されている。
ミツバチ科のコシブトハナバチ亜科、フトハナバチ属 Amegilla
で、和名が
スジボソフトハナバチ Amegilla florea


大顎で蔓に噛みついて、脚を縮めて浮かせている。
なんと器用な。。。
よく見ると、長い小顎を蔓に沿わせている。
キツツキの尾羽みたいにして体を支えているよう。

正月になると人間もハシゴの上で似たことやってますな。

本種を含むコシブトハナバチ亜科の♂は、このように蔓や枯れ茎、
崖にぶら下がった根っこ等に噛みついて、大顎だけで夜を過ごす習性がある。
例えば「アオスジコシブトハナバチ」で画像検索すると、列をなしてぶら下がっている画像を見ることができる。

何だろう?この方が楽なのだろうか?
虫は小さくて軽いから、人が思うほど負担は無いのかも。

近所では真夏の朝顔などで♀が吸蜜しているのを見ることがある。
7月はじめに見たのは初めてである。

確認のために採集した。

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スジボソフトハナバチ Amegilla florea

複眼がキレイ。タマムシ的。

本種の近縁種にシロスジフトハナバチ A. quadrifasciata がいるが、腹部の白帯の太さとか顔の模様、あと触角の鞭節の比率などで区別すると図鑑にあった。

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スジボソフトハナバチでは♂第1鞭節は第2と第3鞭節の和よりやや長い。(第1:2+3=1:0.9)
対してシロスジフトハナバチでは第1鞭節は第2と第3鞭節の和より明確に短いそうだ。(第1:2+3=1:1.5)

ハチの触角用語。
柄節(へいせつ)Scape
梗節(こうせつ)Pedicel
鞭節(べんせつ)Flagellum

おまけ
お手軽に深度合成した、
スジボソフトハナバチ Amegilla florea ♂の顔

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上唇中央の茶色いのは模様じゃなくて汚れです。

ではまた