旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

スリッパ型の繭・・・ブユの1種改めササツノマユブユ

ちょっと前の記事で紹介したブユの幼虫がいた場所から2m離れたところ。

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幅50cm、水深2cm程度。
砂が溜まった流れの穏やかなところである。

こぶし大の石を拾い上げ、老眼鏡越しに目をこらす。。。

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前回のとは色目が違うブユがいる。(緑矢印)
黄色矢印は3年ほど前の大雨で大幅に数を減らしたカタツムリトビケラ幼虫の巣。
やっと回復してきたが、以前ほどは見ない。
水色矢印のところにブユの蛹。

ブユ蛹背面。

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伸びているのは呼吸糸と呼ばれるもの。
オニボウフラ(カの蛹)の角と一緒で前胸気門が変化した呼吸器官だろう。
本種では6本ずつ体長と同じか短いのが生えていた。

ブユ蛹腹面

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フクロウみたいな顔してますな。
ブユの幼虫は糸を吐いて繭を作り蛹化する。
よく見ると二重構造。

水中で固まる糸って不思議な感じがする。。。
トビケラも水中で糸を吐くけど、鱗翅類の吐く糸とは何か違いがあるのだろうか?

さて、日本産水生昆虫や、日本産幼虫図鑑を見てみたが、
これ!と言う種に行き着かなかった。
それとこの2冊の本、微妙に属名が違うのがある。
日本産水生昆虫の方が、属名が細分されている。
和名もところどころ違う名前で書かれている。
担当著者が違うみたい。
発行は同じ2005年だけど前者が1月、後者が10月。
日本産幼虫図鑑の方が新しい。

新しい方に習って、ここでは Simulium 属の1種としておく。

幼虫の方でもうまく検索できなかった。ううん?

画像だけ上げておく。

幼虫背面

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着色部が以前の種より少ない。

腹部先端

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尾鰓は似たような形。
腹面側には前種にはなかった乳嘴突起という構造がある。

頭部腹面

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クレフトは小さく丸みがある。
亜下唇基節は中央歯と側歯が発達している。

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2016年3月7日追記
はむし様より、ササツノマユブユとよく一致すると
ご教示いただきました。
詳しくはコメント欄参照。
ありがとうございました。
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おまけ
胸部側面

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終齢幼虫のようで蛹の構造が透けて見えている。
水色矢印のしわくちゃは前翅のもと。
黄色矢印のくるくる巻きは呼吸糸だろう。

ではまた