脚が1本、唐傘お化け?
ここで言う脚は前脚のことで足のことではない。
祭日のお散歩コース。
寒さが緩んだものの風が強いので、風裏の谷筋を歩いた。
写真でみると何だかイイ感じに見えますが、200メートルも下ると涸れ沢になってしまうショボイ流れである。
水が流れている長さは、せいぜい4~500メートルだろうか。
ちょっと覗き込んでみた。
なんかくっついている。
流れは右から左へ流れている。
ブユの幼虫だ。
成虫は、以前紹介している。(同定は怪しいので注意、信用しないでね)
-->「血は吸わずに舐める・・・・・・・・・・ブユ」
だいたいの水生昆虫は流れに逆らうように
頭を上流に向けてしがみついていますが、ブユは逆。
おしりにある鈎爪のついた吸盤で岩に張り付き、
流れに身を任せている。
何だかユルい生き方だ。
うんちしたら顔に流れてくるではないか。
じっくり見たことがなかったので、少し持ち帰る。
腹面
体長は約6mm。左が頭部。
お腹がぽてっとしている。
背面
胸部と腹部の境目がちょっと?
いろいろ拡大してみよう。
腹端部側面
ユスリカの幼虫と同じで鰓があり、ボウフラ(カの幼虫)のように空気呼吸を必要としない。
左上は背面から見たところ。
基本が3本でさらに枝分かれしている。
頭胸部側面
「日本産水生昆虫」には前脚と書いてあったが、
中央に1本生えているだけなので本来の前脚ではないと思う。
同様な一本脚を持つものにユスリカの幼虫がいる。
「図説 日本のユスリカ」には「前擬脚」と書いてある。
こちらの方が適しているように思う。
頭部背面
触角は細い。
触角と大顎の間に「口刷毛」と呼ぶ特殊な毛束がある。
扇状に開いて流水中から餌を漉し取って食べるようだ。
間延びしたハムスターのような額板は最大幅が中央にあるか後端にあるかが分類に使われる。
頭部の各部名称
口刷毛の付け根に小型の亜口刷毛がある。
亜下唇基節先端の棘の形状も分類に使われる。
頭部腹面の切れ込みを「クレフト(cleft)」と言い、
切れ込み具合と形状も分類に使われる。
プレパラート画像いろいろ
前脚(前擬脚)末端節
ズラリと並ぶ鈎爪。
薄い硬化部を側板と言い、この形も分類に使われる。
腹部末端背面
後吸盤にも逆棘がズラリ。
これなら急流に逆らってくっついておれるだろう。
肛門と尾鰓は透明になりすぎてわかんなくなっちゃった。
口刷毛拡大
1本1本を肋と言い、肋にもそれぞれ細かい毛が生えている。
これで漉し取る訳ね。
大顎先端部
亜下唇基節
棘にもそれぞれ名称がある。
側縁歯にはピントが合ってないので写ってません。
スマヌ。
これらの特徴を元に検索表をたどってみたら、
アシマダラブユ Simulium japonicum に行き着いた。
・・・・あれ?
以前の成虫、ひょっとしてオオイタツメトゲブユ(アオキツメトゲブユ)でない?
3月になったら成虫追加して確認せねば。。。。。
おまけ
腸管内容物
なんだかよく判らない細かいものがいっぱい。
ではまた