花粉カゴを持たないハナバチ
最近はネタになる虫がいないので、9月から。
9月最後の日曜日、ちいさなちいさな6mmほどのハチが日向ぼっこしていた。
スミスメンハナバチ Hylaeus floralis
採集して日本産ハナバチ図鑑(文一総合出版)で調べてみたが
それほど自信はない。
見ていると、口から黄色く濁った液体を出してじっとしている。
花蜜の濃縮行動だろうか。
このメンハナバチの仲間はハナバチのくせに体にもこもこした毛を持たず、
ハキリバチの腹部下面や、ミツバチの後脚の花粉カゴのように
花粉運搬装置を持たない。
そのため、花粉は蜜と一緒にお腹に呑み込んで運ぶそうだ。
濁った液滴はそのせいであろう。
昆虫学者の岩田久二雄氏が著書の「自然観察者の手記」で
ハラツヤハナバチの1種の詳細な観察記録を残されている。
(ハラツヤハナバチはメンハナバチの旧名)
それによると、メンハナバチの巣の花粉団子はゆるいジャム状で
口から分泌するセロハン状の膜で包まれているそうだ。
さて、日本産ハナバチ図鑑によると、
スミスメンハナバチはアルマンメンハナバチと酷似するため
同定には注意がいるそうな。
でおまけ画像。
顔面
頭盾の黄斑はI字状か逆T字状。
後胸周辺
ハナバチの特徴である羽毛状の毛は盾板周辺にわずかに生えるのみ。
第1腹節背面はツルツルで光沢がある。
旧名のハラツヤハナバチはここから来たのだろう。
側面
点刻の状態がアルマンとスミスでは違うそうだ。
ではまた