旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

和名はついたけど、学名未決定種・・・・・ズグロコブカザリバ

近所の山に知らない爺さんが植えたバナナ。

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毎年、秋口に花は咲くがすぐに寒くなるので
実が大きくなったためしがない。

その垂れ下がったバナナの枯葉をシバいて落ちてきた蛾。

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ズグロコブカザリバ Ascalenia sp.
全長5mmのチッコイ蛾。
普通種だけど、学名未決定種である。

展翅標本

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こちらは2008年8月に三田市の中央公園で採ったもの。
仕事の途中休憩に寄って、剪定した枯れ枝を積んであるところを
シバいたらいっぱい落ちてきた。
体の油が浸みて黒ずんでしまった残念標本。
ネットを見ると、もっと黒っぽい個体もいる。

本種は古い図鑑には載っていない。

私の知る限り、初出は以下のサイト。

みんなで作る日本産蛾類図鑑

このサイトでは、カザリバガ科 Cosmopterigidae 亜科和名なしのChrysopeleiinae
として画像があり、
東南アジアのAscalenia thoracista (Meyrick, 1915)に酷似するが、
日本で採集されたものだけで交尾器の違う複数種が認められるため、
属不明種とされている。

図鑑類で初めて名前を見たのはこれ。
「日本の鱗翅類(東海大学出版会、2011)」。
カザリバガ科Cosmopterigidae コブカザリバガ亜科 Chrysopeleiinaeとされ、
世界に22属270種が知られる、とある。
日本からはAscalenia sp.が2008年に記録、と書かれている。
ただし図はない。

画像がある図鑑はこちら。
「日本産蛾類標準図鑑III(学研、2013)」
この図鑑では亜科から科に昇格し、コブカザリバガ科 Chrysopeleiidae とされている。
学名はAscalenia sp.のままであるが、和名は新称され、ズグロコブカザリバとある。

2014.10.18 追記
コブカザリバガ科と言うのは、より伝統的な体系に従った場合で、
新しい(まだこなれていない)体系では亜科にしているそうです。
昨年、蛾のmothprog先生とツイッターでやりとりしているのを思い出しました。
やりとりはこちら--> https://twitter.com/mothprog/status/298441320475807745


ではまた。