旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

グミっぽい幼虫、、、グミだけに

お散歩コースに生えてるナワシログミ。
秋に花が咲いて、翌年の春に実る。

暮れにその膨らみかけた実を見ると、
2・3個まとめて綴られていることがある。

f:id:insectmoth:20170105111826j:plain


花がらを綴って住み家にして廻りを食べている。
何かの小蛾類の食害を受けているらしい。

でも中のひとはまだ小さいかもなので、ちょっと様子見し、
年が明けてからいくつか持ち帰って中を見た。

中のいもむし。

f:id:insectmoth:20170105111850j:plain


紫がかった褐色でなんとなくお菓子のグミっぽい。
こじつけ?
そうですが何か?

背面の刺毛基板は白色。

前胸のL刺毛は3本。

f:id:insectmoth:20170105111914j:plain

ぼんやりとしか写らなかったので、矢印をつけた。

3本と言うことは2本のメイガ上科は除外できる。

たぶんハマキガ科だろうけど、、、、と思ってたら先日羽化が始まった。
室内に置いていたから羽化が早まったみたい。

f:id:insectmoth:20170105111939j:plain

ホソバチビヒメハマキ Lobesia aeolopa
別名ホソバチビハマキ

羽化後の蛹殻。

f:id:insectmoth:20170105112004j:plain

蛹がうにうにと繭から体をせりだしてから羽化する。

ハマキガ科やホソガ科ではこのように蛹の状態で繭から半分乗り出して羽化する事が多い。

手足を動かすことが出来ない蛹がどうやって繭から出てくるかと言うと、腹部に秘密がある。

蛹殻側面

f:id:insectmoth:20170105112019j:plain

腹部背面に後ろ向きのトゲがズラリ。
このトゲを背刺列 dorsal spines と言う。

動かないように見える蛾の蛹も、ハマキガ科では第2腹節~6節(♂では7節)までは可動なので、腹部をくるくる動かすだけで繭の内壁に引っかかり、自動的に前進して繭を突き破るようになっている。

腹端部の拡大(背面)

f:id:insectmoth:20170105112037j:plain

尾鉤の発達は弱い。

ちなみにヤママユのような緻密で丈夫な繭を作るものでは、繭の中で羽化し、口から液体(消化液?)を出して繭を湿らせて糸をほぐすようにして脱出する。


模様が判るように翅を拡げた分。

f:id:insectmoth:20170105112056j:plain

ホソバチビヒメハマキ Lobesia aeolopa

♀は翅の幅が♂と比べて広い。
触角は♂♀並べてみると♂の方が太い。

Lobesia属の日本産は14種記録されているが、
模様のよく似た種類が数種おり、同定には注意を要する。

ホソバヒメハマキ Lobesia reliquana は後翅が白色半透明な点で区別できる。
あとの種類(トドマツチビヒメハマキ、カラマツホソバヒメハマキ、ヤスダホソバヒメハマキ)は、交尾器見た方が確実みたい。
採れた場所や食草が判れば少し絞れるけどね。


おまけ

f:id:insectmoth:20170105112136j:plain

ホソバチビヒメハマキ Lobesia aeolopa♂交尾器
ファルス(エデアグス)が折れちゃった。。

Lobesia属は主にバルバの形に種ごとの特徴が現れるそうだ。

ではまた