旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

キアシナガバチ古巣のおまけ。

昨年の暮れにアシナガヤドリヒメバチの一種を紹介したが、
小蛾に食害されたボロボロの古巣は一応プラケースに取っておいた。

そこから小さなハチが出てきた。

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ノミコバチ科の一種 Elasmus sp.の♂だと思う。

おちゃたてむしさんのブログに超きれいな写真があった。
前脚の色とか特徴が同じなので同種のようだ。

ネットで見つけた「寄生蜂の解説」によると、
ノミコバチ科は主に鱗翅目の幼虫に外部寄生するそうである。

論文検索サイトのCiniiで検索すると、「Bionomics of Elasmus japonicus a Parasitoid of a Paper Wasp,Polistes snelleni
と言う論文が見つかった。英語なのでちゃんと読んでないが、コアシナガバチに寄生すると言う話のようだ。

どちらに寄生していたのか判らないけれど、古巣を食害していた小蛾も気になってくる。
普通はアシナガバチの巣には、モモイロシマメイガやコメノシマメイガなどの
シマメイガ亜科の幼虫が付くことが知られているが、、、

繭などの残骸

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なんだかシマメイガ類ではない感じ。大きさが一回り小さい。
死んだ幼虫(矢印部分)が見つかったので、刺毛配列の確認。

クシャクシャでは判らないので、10%の水酸化カリウム水溶液で煮込む。
で、幼虫の開きを作成。

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メイガ上科かどうかを見分けるポイントは丸で囲んだ部分。
前胸のL刺毛。

該当部分を拡大

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3本ある。
メイガ上科は2本なので、この幼虫はそれ以外という事になる。
繭の感じからするとヒロズコガ科が怪しいかな?

さてこのノミコバチ、どちらに寄生していたのだろう?

古紙のような栄養の無さそうな古巣でも、巣はハチの唾液で固めたものだし、
個室の底にはハチ幼虫が蛹化時に出した糞が固まっているので、
古巣というのは、実は養分が結構ある物のようだ。
集めたら、けっこういろんな生き物が利用していてオモシロイかも?

おまけ
今回は関係ないけど、、、

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モモイロシマメイガHypsopygia mauritialis 標本
以前セグロアシナガバチの古巣から羽化した物。
けっこうな美麗種(ちっちゃいけどね)。

ではまた