旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ひょろひょろカメムシ、でも肉食。

この土日は姪の結婚式にお呼ばれ。
なのでお散歩行けてません。

ということで、前の週に見た虫から。

谷あいによそのお爺さんが植えたバナナ。
毎年今頃花が咲くが、寒くなるので実ることがない。

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垂れ下がった枯れ葉に何かいないかと思って網で受けてペシペシ叩く。

網を覗くと、オオシマカラスヨトウやウスグロクチバがバタバタ。
越冬しようと隠れていたみたい。
私は要らないのでポイする。

あとは小さなヒメマキムシやらチャタテムシ類などの菌食性の虫が
網の底でうごめいている。
谷あいにあるバナナなので枯れ葉が適度にカビているのだろう。

それらの中をひょろこい虫がのろのろと歩いていた。
カモドキサシガメの仲間だ。
5個体ほどいたが、ほとんどが時々見かけるヒメマダラカモドキサシガメ。
それらに混じって、ほんの少し大きいものがいた。

こんなの。

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オオコブマダラカモドキサシガメ Empicoris spectabilis
小さいので生態写真は撮らず。

カメムシ図鑑3巻にサシガメは検索表つきで詳しく出ていたので、
それに沿って進むと、オオコブマダラカモドキサシガメに行き着いた。
以下その特徴を図鑑から抜き書き。

サシガメ科 Reduviidae の特徴
前胸背は前葉と後葉に2分割される事はあっても
3分割される事はない。
口吻は3節からなり、その先端は前胸腹板の後縁を超えない。
前胸腹面の中央にヤスリ状の摩擦溝を備える。
前翅は網目状にならない。
複眼間に顕著な横溝(複眼間溝)がある。
頭部の基部が狭まり、首状部を形成する。

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アシナガサシガメ亜科 Emesinae の特徴
単眼がない。
体は細く、棒状。
前脚基節は長く、その最大幅の4倍以上。


カモドキサシガメ族 Ploiariolini の特徴
前脚付節は前脚脛節の1/3かそれ以下で、全体的に毛を生じる。
小型の種で体長は通常7mm未満。
前脚脛節の腹面に毛の列があるが歯状突起や棘の列はない。


マダラカモドキサシガメ属 Empicoris の特徴
前翅の翅室は盤状翅室のみで、小翅室は付随しない。

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前脚付節は2節、前翅縁紋は前翅先端まで達しない。
体色は黒と白の斑模様。
盤状翅室の基部から前翅前縁に向かう短い翅脈を除き、
単一の長い翅脈が前翅の基部に向かってのびる。


オオコブマダラカモドキサシガメ Empicoris spectabilis の特徴
前胸背後葉の白い側隆起は後葉とほぼ同長。
前脚腿節は細く、その最大幅の10倍以上の長さがあり、
腹面には顕著な有棘突起をもたない。
前胸背は後縁中央付近に突出部をもつ。
前翅の縁紋は、盤状翅室のちょうど先端まで達するか、
それをやや超える程度。
複眼は大きく、背面から見た複眼の幅は複眼間の距離と同じか、
より大きい。

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その他の特徴として、前胸背後葉に1対の不明瞭な白色縦紋をもつ。
後脚腿節の亜先端部の黒色環状紋は先端の白色部と同幅かわずかに狭い。と図鑑には書いてあった。

本種は、記載年が2008年と割と最近で、市販の図鑑類では「日本原色カメムシ図鑑 第3巻」で初めて紹介された種類である。

♂だったので腹端部の拡大。

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腹面からの図



サシガメは、一緒にいた菌食性の小昆虫を捕食しているのだろう。
サシガメと一緒に採れたチャタテムシ

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2013年12月7日画像差し替え。
スミマセン、スケール間違えてました。


チャタテムシはおちゃたてむしさんのブログで探せばすぐ見つかるだろう、
と思ったが探し方が悪いのか、どうも一致する画像が見当たらない。
仕方がないのでインターネット上をあちこちウロウロした結果、Bugguide.netに似た画像を見つけた。
ニセケチャタテ科PseudocaeciliidaeのOphiodopelma属のようだ。(絵合わせの当てずっぽうなので信用しないでね。)

おまけ
小刺室が付随する翅脈の例
ウスイロカモドキサシガメの前翅

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おまけ2
前胸腹面の摩擦溝
アカシマサシガメの前胸腹面

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口吻で擦ってヒトには聞こえない音を出しているのかな?

ではまた