旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

目立つ待避所

今週、ついったあでつぶやいた事の補足、みたいな記事。

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ベニシダの仲間。
細かく分けだすと種類がいっぱいあるらしいので、「~の仲間」にしておく。
7月になると、このベニシダの葉上に小さなミノムシ状の巣を見かけるようになる。


拡大

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ツブツブうんちを綴って出来た5mmほどの塔。

(2016.01.05追記:うんちじゃなくて、胞子嚢の殻かもしれない。)

この巣、ミノムシみたいな可動式でなく、葉っぱに固定されている。

裏返すと、

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糸の膜が薄く張られて胞子が食べられている。
矢印のところに幼虫。
びっくりして表側の塔に逃げ込もうとしている。
葉っぱに穴を開けて、外敵が来たら反対側に素早く逃走する仕組み。
よく考えてある。

幼虫の拡大

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ニセマイコガ科StathmopodidaeCalicotis属の一種
体表のツブツブは胞子。
特徴が乏しい いもむしである。

「昆虫と自然」という雑誌があって、
2003年の12月号が「ミクロレピの世界」という特集がくんであり、
そこでこの蛾がCalicotis sp.として紹介してあった。
(ミクロレピ=Micro Lepidoptera=小型の鱗翅目;原始的な蛾類は小型の種類が多く、ミクロレピ(小蛾類)と総称される。)

種類は確定していないけれど、こんな面白い巣を作る蛾がいるよ。
と紹介されていたわけですが、

つい最近発行された最新の図鑑、日本産蛾類標準図鑑3巻。
10年も経ったら種類が確定してるだろうと見てみると、

Calicotis属は情報不足のため、本図鑑では取り扱わない。」

取 り 扱 わ な い <●><●>



_| ̄|○
直接ヒトと利害が絡まない虫なので
なかなか研究対象とされ難いのは判るけど、、、
残念。


おまけ
Calicotis属の1種 成虫。

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神戸では、5月中旬頃からよく見かける。
翅に目立った模様もなく、地味で区別しにくい蛾だが、
後脚脛節先端だけが黒く縁取られるのが特徴か。

この写真の個体は野外で得たもので、
幼虫から飼育したものではないので、
確実にCalicotisか?と聞かれれば
自信はないのだけれど、
件の昆虫と自然の記事に Calicotis sp. の成虫標本の写真があって、
それとそっくりそのままなので、
Calicotis属なのは確かだと思う。

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2016年4月7日追記

本種は、2016年に出版された「日本の昆虫Vol.7 ニセマイコガ科」に、
シロシダマイコガ Pachyrhabda aedificatrix
として新種記載されました。
本属や Calicotes属その他が多数新種記載されています。
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ではまた