旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

キイロコバエ科の1種

日曜日、お散歩に出る前に、庭で水撒きしていると、
クヌギの葉っぱに黄色いハエが2匹止まっていた。

写真を撮ったら逃げられる、の法則があるので(?)生態写真は撮らずに確保。

ショウジョウバエ?、とかシマバエ?、みたいな感じ。
ちょうど♂♀1匹ずつだった。

乾燥する前に写真撮影。♂の方。

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単眼域が黒い他は全身黄色。毛も黒くない。
複眼がきれいな色である。

体長3mmチョイ。

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ホワイトバランスバラバラの写真、、、シロウト丸出しである。


翅脈図、画像クリックで拡大

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翅脈の名称はすべて書いてないので、こちらの記事も参照して下さい。
-->「暫定、キアシトゲアシイエバエ」


背面。深度合成画像、画像クリックで拡大

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①額眼縁刺毛のうち、1対は内傾
①下額眼縁刺毛(額刺毛)のうち、1対は内傾 2013.5.26変更
②単眼刺毛
③後単眼刺毛は内傾
④小盾板の剛毛は2対

北隆館の「新訂原色昆虫大図鑑Ⅲ巻」にある双翅目の検索表で科の検索を試みた。

途中ははしょって、見た目で短角亜目の無弁翅類から検索開始。
(短角亜目は蚊みたいな形のヤツじゃなく、ハエみたいな形の分類群。無弁翅類はイエバエやキンバエみたいに翅の後ろに白い弁状のものが付いていない分類群、のこと。)

なになに?
・単眼を持つ
・複眼は眼柄から生じない;触角基部は広く離れない
・触角刺毛はよく発達する
・後付節の第1付小節は球形に肥大せず、第2付小節より長い
・翅のSc脈は先端近くがほぼ直角に屈曲しない
などをクリアしながら検索表を進む。

次の検索キー、
Sc脈が完全でR1脈と合一せずに独立して翅縁に達するか?
で、ちょっと微妙な感じ。

これは結局どちらを選んでも同じ科に行き着くことが判明。

まずSc脈が独立する方の検索キー(=key、鍵となる特徴の事)で当てはまる方を抜き書き。

・翅のSc脈は完全で全長を通じてR1脈とは独立して前縁に達する
・体肢共に常形で著しく細長くない;R4+5脈とM1脈はほぼ平行して走るか、先端に向かって相互に離れていく
・触角梗節の先端側縁は第3触角節に向かって張り出さない
・翅の前縁脈は少なくともsc切目を持つ
・頭部の口器域は中庸大;頬は複眼直下に上向きの強い剛毛を欠く;前額幅は中庸以下、側傾の額眼縁剛毛は0~2本
・翅のR1脈の背面には小刺毛を欠き、ミクロトリキアを生じることもある;CuA脈が内彎しないのでcua室は先端が尖らない
・下額眼縁剛毛のうち1対は内傾する
・翅の前縁脈の切目はsc切目のみである
・後単眼剛毛は収斂的;体は小型淡色、被毛も淡色
--->キイロコバエ科 Chyromyidaeの一部

もう片方の、Sc脈が不完全とする方の検索キーで当てはまる方を抜き書き。
・翅のSc脈は不完全、先端に向かって不明瞭になるか、先がR1脈に融合するか、R1脈との間が一様に骨化するために両脈の境界が判然としない
・少なくとも1対の内傾の額眼縁剛毛がある
・翅のR1脈は背面に小刺毛を生じない;Sc脈は鋭く前方に屈曲しない
翅の前縁脈はsc切目のみを持つか、まったく切目を欠く;脛節は亜末端剛毛を持つか欠く
・触角梗節は椀状ではない;第3触角節は斜め下方を向かない;触角刺毛は背腹両側に分枝を出さないか、そうでなければ単眼剛毛は単眼瘤から生じる
・後単眼剛毛を持つ;第2基室と中室は少なくとも部分的に分離される
・全脛節は背面に亜末端剛毛を欠く;上前側板剛毛を持つ;後単眼剛毛は収斂または離反的;翅は無紋
・後単眼剛毛は収斂的;体は小型淡色、被毛も淡色
--->キイロコバエ科 Chyromyidaeの一部

※2013.5.26追記*******************************
収斂的と内傾は同じ意味。対となる毛が交叉する方向に生えている事。
頭部の刺毛の名称は勉強不足でいまいち間違ってるかも?
種類によって、場所と本数が違うのでムツカシイ。。。
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と、こちらもキイロコバエ科に行き着いた。
検索しても日本のサイトでは見あたらないが、
Chyromyidaeで検索すると、海外のサイトで似たのがたくさんヒットする。
科はキイロコバエ科で良さそうだ。

カナダ農務省の公開しているハエの文献「Manual of Nearctic Diptera(リンク先は巨大pdfファイルに付き注意)」にキイロコバエ科の属の検索が有り、チラ見してみると、小盾板に2対の剛毛があり、他に2~12本の刺毛があるものは、Chyromya属であるらしい。



こっちは♀の方。

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微針刺し乾燥後の標本。
乾燥したのにおなかはパンパン。卵でいっぱいのよう。

ではまた。