旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

秋のハバチ

タイトルは正確を期すと、「秋も出現するハバチ」かな。

ハバチと言えば春から初夏にかけて多い印象がある。
その中でも、春と秋の2回発生する種類の話。
秋と言っても残暑キビシイというか、
夏真っ盛りちゃうのん?と言う9月ですが。


9月の第2日曜日に採ったハバチ。

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イノデハバチNeostromboceros nipponicus
体長約6mm


大阪府のハバチ・キバチ類」で分類を試みた。

科の分類・・・

触角は複眼下縁より上から生じ、9節で糸状
前胸背板は短く中央部で狭くなる。
頭盾は頭部と区分される。
メスの産卵管鞘は後方に伸張しない。
オスの腹部末端には後方に伸びる突起がない。

以上の特徴により、ハバチ科Tenthredinidaeになった。

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次、亜科の分類・・・・

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基脈と肘脈は亜前縁脈上のほぼ1点で接するか、
離れる場合でもその間隔は第1肘横脈より短い。
肘脈基部は縁紋方向に強く曲がる。(図の①)

以上よりシダハバチ亜科Selandriinaeになる。


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亜科が判ったので、属の分類・・・・

口器は細長くない。
肘横脈は第1肘横脈を欠いて2本(翅の図の②)
肘脈基部は縁紋方向に強く曲がる(翅の図の①)
中胸側板の前側片は溝により区分される。
前翅の基脈は直線的で、第1反上脈とほぼ並行(翅の図の③)
前翅の肛室に横脈はない(翅の図の④)

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中胸側板の前側板との境界は直線に近い。
前翅肘脈の基部は曲線を描かず、角張って曲がる(翅の図の①)。

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脚の爪は先端部が二分される。


以上よりNeostromboceros
(本には和名が書いてなかった。イノデハバチ属でいいのかな?)

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最後に種の検索。


斜め下からのアングル

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腿節は黒色。

顔面

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頭盾は黒色、爪は先端が2裂。
腹部は雌雄とも黒色。


以上の検索キーをたどって イノデハバチNeostromboceros nipponicusに行き着いた。

種の解説では触角を含む頭部・後部・腹部は広く黒色。上唇、前胸背板上縁、中胸前側板は白色。脚は黒色、基節末端、転節、末端を除く脛節は白色。付節はやや淡色。

和名はイノデハバチだけど、正式な食草の記録はないそうだ。

すぐそばにイノデは生えていたけど、別のシダに集まってたような??。

この属は日本産6種、近畿では4種だそうな。

おまけ
イノデハバチNeostromboceros nipponicusの産卵管

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間違ってたらご指摘お願いします。

ではまた。