冬のハエ
寒い時期は、暖かい季節には見向きもしなかったハエなんかにも目を向けるものである。
が、しかーし!
種名を調べようにも図鑑にも文献にも載って無い種類ってハエには多いよね。
例えばこのハエ。
ホソハナレメイエバエ属の1種Caricea sp. ♂
腹端の交尾器は引き出してある。
衛生害虫として有名なイエバエを含むイエバエ科も例外ではない。
「日本のイエバエ科」と言う本が出たので少しマシにはなったものの
聞いた話ではこの本に載っていない種類はまだ多数残されているそうだ。
野外性の人と関わりの少ない種類というのは研究するにしても後回し、と言うことか。
また、この本の検索表には不備があり、間違いが含まれているので注意が必要だ、とハエの掲示板で伺ったことがある。
噂ではハエ屋さんの有志により、「日本のイエバエ科検索表添削プロジェクト」が進められているそうである。
(いるらしい、いるといいな。出来たらくださいチラッチラッ)
このハエも冬場でも暖かいときには日向ぼっこしている姿をよく見るハエである。
普通に見かける種類だというのに調べるとなると一苦労。
イエバエ科からホソハナレメイエバエ属に行き着くまでの軌跡
イエバエ科には、イエバエ亜科・トゲアシイエバエ亜科・マルイエバエ亜科・ハナレメイエバエ亜科の4亜科がある。
翅側板に多数の剛毛はない。
後脚脛節の後背部先端1/3に剛毛はない。
下側板剛毛はない。
腹胸側板剛毛は常に3本、下の1本は上の2本とほぼ等距離。
などの特徴を見て、ハナレメイエバエ亜科になる。
さらにハナレメイエバエ亜科には8属あるので、
腹胸側板剛毛はほぼ正三角形に生える。
後脚脛節の前背剛毛は2本
中脚脛節の中央部に1本の後背剛毛がある。単眼三角部は大きいか長く、額帯の前縁部に達するものがある。
小盾板には4本の強剛毛がある。翅は通常透明。後脚脛節に2本の後背剛毛がある。
端刺は羽状または微毛状
などの特徴を確認すれば、ホソハナレメイエバエ属となる。
「日本のイエバエ科」にはホソハナレメイエバエ属が10種載っており、検索表もあるのだが、どっちつかずの特徴だったり、腹部の色彩が検索キーになっていたりとか、交尾器の図が2種しか載っていないだとかで、
ちょっっっっと自信がないので、種の特定はあきらめた。
以下各部の拡大図
頭部
胸部側面
黄色点線は腹胸側板剛毛の位置関係。
頭部と前脚
黄色矢印がパルプ(小腮鬚)
パルプがスプーン状に広がっていたらカトリバエ属Lispeになる.
この写真のパルプは細長い通常の形。
中脚脛節
脛節中央に後背剛毛が1本。
後脚脛節
黄色矢印が前背剛毛
青色矢印が後背剛毛
赤色矢印が亜端剛毛(背剛毛)
腹部側面
種名ゆるぼ。。。
ではまた