シダボールをつくるもの・・・シダを食べる蛾。その3
林の陰にひっそりと生えるシダ。
ベニシダの仲間だろうか?
このシダを葉先からクルクルとボール状に器用に丸めて住みかにしているいもむしがいる。
こんなの、
とかこんなの。
正体は地味なノメイガの仲間なのだが、よく似た種類が数種類いて同定が面倒なので、放置していた。
何回か持ち帰って羽化させたりしたのだが、シダは水揚げが悪いのでかなり成長の進んだ幼虫を選ばないとなかなか羽化しなかった。
野外で見るこのシダボールはビー玉大からピンポン玉大まで大きさに幅がある。
小さなシダボールには何もいないか小さな幼虫がいるだけなので、成長に合わせて適宜引っ越しして作り直すのかも知れない。
という感じで大きなのを開いてみると、
蛹が入っていたりして飼育の手間が省けたり。。。。
この方たちは、うんちは外に捨てずに大事に巣の中に集めておくみたい。
バッチク見えるけど、バリケードにはなるのかな?
羽化してきた蛾。
地味である。
イノモトソウノメイガHerpetogramma okamotoi
、、、だと思う。
本種は最初、イノモトソウから見つかったのでこの名前が付けられた。
同属に同じようにシダを食べるケナガチビクロノメイガがいる。
他にも食草の判っていない同属種がいるので、同定には注意が必要だ。
展翅した。
日本産蛾類大図鑑によると、
外横線の①の部分が湾曲せず、直線的に見えること、
翅端が丸みを持たずにとがり気味であるため、
外横線と外縁が角度を持つこと(①と②のライン)、
などが区別点として挙げてある。
来年学研から新図鑑の小蛾類編がでるので、
どれだけ新知見が増えているのか楽しみである。
種類が増えているか?
逆にまとめられていたりして、、、、
それはさておき、触角の拡大
♂の触角
微毛状。(細かい毛が並んで生えている)
♀の触角
単純。
ケナガチビクロノメイガの♂触角は
各節から1対の小突起がでて繊毛が生えている、そうだ。
♂交尾器
中心を通る挿入器(phallus、以前はaedeagusと呼んでいたが、正しくはphallusとのこと)ははずして楕円内に示してある。
挿入器は平たく言うと、おち○○ん。
挿入器の先端から内部に陥入した膜質の袋をベシカ(vesica)と呼び、
そこに生じる刺状、針状の突起をコルヌツス(cornutus)と呼ぶ。
近縁種を区別するにあたって、このコルヌツスの数や形状が重要だったりする。
ベシカを反転し拡大。
ケナガチビクロノメイガではコルヌツスは細かい刺状物のかたまりが1つあるそうだ。
この画像ではそんな風に見えない。
などなど、、、
で、イノモトソウノメイガとしてみた。
さて、私の同定は当たっているだろうか?
比較標本があると判りやすいのだが、
単独で調べるとなると大変なのである。
ではまた。