冬の赤いダニ・・・・・・ナミケダニ
初冬や春先、日当たりの良い地面を良く歩いているダニ。
ナミケダニ属の一種Trombidium sp.
ビロウド様の質感のあるダニで、体長は3mmとダニにしては巨大なサイズ。
赤い色で、いかにも血を吸いそうだが、吸血性はない。
ナミケダニ属の中で、全国的に普通種なのはアカケダニTrombidium holosericeumだそうだ。
画像の種もおそらくそうだと思うが、近縁種もいるだろうからナミケダニの1種としておく。
赤いダニと言えば、梅雨前に家屋の周りで走り回っているのを見かけるが、あれはまた別の種類で、アナタカラダニの仲間。
ナミケダニを透化処理してみると、
体表に毛が一面に生えているのが判る。
3mm程ある袋状の部分が後体部で、これが中央で8の字状にくびれていたらツツガムシ科になる。
後体部の体毛
体毛が分岐しているのがナミケダニ科の特徴(分岐しないのはジョンストンダニ科)。先端がデコボコの肉質状なのはナミケダニ属の特徴(細く終わると他属になる)。
脚の先端
爪間体を欠き、2本の爪のみ(刷毛状の爪間体を持つものはドクロケダニ属になる)。
触肢の拡大
脛節の爪が長く、ふ節が途中から出てカニのはさみのようになる状態を、触肢は親指状と表現する。
眼は前体部にあり、可動する柄の先に付く。
カニさんみたい~。しかしカニは複眼、このケダニは柄の先に個眼が2個ずつ付いている。
冒頭の写真でも、よく見ると眼が写っている。
あと、分類には前体部にある感覚溝の形とか感覚毛の位置などが重要であるが、写真に写りがたい部分なので、はしょります。
キョーミがある方は「日本産土壌動物」とかを見てね。
ではまた。