旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ちょっとおしゃれなセミルーパー

去年の暮れ(11月21日)、ヤブツバキの葉裏に隠れていたスマートないもむし。

その時の写真。

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胴体と、腹脚の基部に赤紫色の斑紋が並ぶ。
体長はまだ9mm前後。

時期はずれのイレギュラーな発生かと思い、連れ帰った。

ちゃんと育つんかいな?と言う心配をよそに、
室内でヤブツバキの硬い葉っぱを食べて順調に成長し、

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成長し、

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老熟して、

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体長約45mm


12月中旬には、繭を綴って蛹化した。

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普通は4対ある腹脚のうち最初の1対は完全に退化して無くなっている。
2対目もかなり退化し、ちんまりした突起物でしかない。
そのため、歩行には3・4対目の腹脚しか使わない。
スマートな体型と相まってシャクトリムシのような歩き方をする。

以前にも少し書いたが、シャクガ科の幼虫のことを英語でルーパーと呼ぶが、このようにシャクガ科以外の中途半端に腹脚の退化したシャクトリムシタイプの幼虫のことを、「セミルーパー」と呼ぶ。

そのまま室内においておいたら、連休中に羽化した。
こんなの。

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近似種がいくつかあるが、前翅の斑紋や後翅の外縁が波うつ事などから、
カザリツマキリアツバTamba igniflua
で良さそうだ。

講談社の「日本産蛾類生態図鑑」にカザリツマキリアツバが掲載されており、アラカシを食す。とある。幼虫の写真を見ると、全身緑色であった。解説に、近縁のチョウセンツマキリアツバはツバキを食し、幼虫で越冬する、とあった。


今回の幼虫は、ヤブツバキを食し、腹脚の基部に赤紫色の斑紋があるため、飼育中はチョウセンツマキリアツバかな?と思っていたのだが、羽化したのは、予想に反してカザリツマキリアツバだった。


幼虫の分類では、食餌植物の情報も重要だったりするのだが、
この2種に関しては当てに出来ないようだ。
同種内でも越冬形態などは、地域によって
卵だったり幼虫だったりするのかも知れない。

いもむし けむしは、飼育しないと確かなことが言えない種類が多いので難儀である。
それが、楽しいとも言えるんですけどネ。