旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

いといぼぺったん

私のブログを見に来るようなツワモノは、多分大丈夫だと思いますが、念のため。

今週はクモです。
苦手な方は見ないようにして下さい。









9月最初の日曜日。
お散歩コースで何かいないかと、やぶを叩きながら、落ちてくる虫を見ながら歩いていくと、
「ぼてっ」と、大きめの生き物が落ちてきた。

クモだった。

体長は約2cm
クモで2cmは大きいほうだ。
名前の見当がまったくつかなかったので、持ち帰ることにする。
図鑑をペラペラめくると、すぐに判った。

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カマスグモThelcticopis severa

アシダカグモ科に属す。
ゴキブリキラーで有名なアシダカグモの親戚筋だった。

これだけ大きいと、毒うんぬんを抜きにしても、咬まれたら痛そうである。

カマスグモの顔と裏側。

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水色矢印の隙間は、「書肺気門」。
呼吸をする穴である。
この中に「書肺(しょはい)」と言う器官がある。

書肺というのは、書物のように板状のものが重なった器官である。
ガス交換を効率よくおこなうために、表面積を大きくとるためであろう。

その間にあるのが、外雌器。
なのでこの方は、♀の成体である。
口ひげボーボーでも、彼女と呼ばなくてはイケナイのだ。



持って帰って、プラケースに入れると、ふたの裏に逆さに貼り付いている。
小さなクモならいざ知らず、こんな大型のクモが、ツルツルのプラ板に逆さに留まれるとは驚きだ。

やっつけで動画を撮ってみた。
キズダラケ&空気穴付きのプラ板越しの映像で、とってもキタナイですが、イメージは伝わると思います。

プラ板越しに見た、足の裏。。。

youtu.be

極小の毛がビッシリと生えている。
「末端毛束」というそうだ。

爪は隠れて見えない。
極小の毛に秘密がありそう。
誰かが調べていそうだけど、私には判らない。



糸を出すところは腹端にあり、「出糸突起(しゅっしとっき)」という。
「糸器」、「紡績突起」、「糸疣(しゆう or いといぼ)」と呼ばれることもある。
多くのクモでこの突起は3対ある。
突起の先には、「吐糸管(としかん)」という、 チイサナチイサナ穴が、た~くさん開いており、ここから糸を出す。
吐糸管の数は、多い種類では2000個!もあるそうだ。

いもむしけむしの吐糸管は口のすぐ下に一個開口しており、一本の糸しか出ないが、クモの場合はたくさんの吐糸管があるので、糸を束にして出すこともできる。
コガネグモなどが、網にかかった獲物を帯状の糸でグルグル巻きにしているのを見ることがあるが、吐糸管が何千とあるからできるワザなのである。

カマスグモが糸を出すところ動画。

youtu.be

出糸突起を「ムニニニ、」と押しつけて、ツイィーーと引っ張ると、糸が伸びてくる。
糸は1本ではなく、たくさんの細い糸の集合であることが判る。

この、ツイィーーと伸びた糸を、「しおり糸」と呼ぶそうだ。
命綱みたいなもので、クモが歩行するときは必ず引いているそうだ。

しおり糸を引く最初の「ムニニニ、」の部分は、「付着盤」と呼ぶそうで。
これがしっかり付いてないと、命綱の役をなさない。
が、見るからにしっかりと付いているようだ。