旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

ヒゲダニ類の便乗生活

もうすぐお盆だと言うのに休みの度に雨である。
8月らしい、カッとした天気はどこに行ったのだろう?
傘をさしさし、山に行くことは行くのだが、虫は隠れてしまっているし、居たとしても、コンデジとはいえ雨に濡らしてしまうのもイヤだしで、ほとんど写真を撮らずに帰ってきた。



ネ・ネタが・・・・・・・


撮った写真はセミヤドリガの幼虫、
が寄生しているヒグラシくらい。

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ちゃんと撮る気がないので、テカりまくりである。
本種の繭は過去に紹介済み(こちら

この幼虫も、どうやってセミから栄養を得ているか?とか、
最初にどうやってセミに取り付くのか?とか
不思議イッパイの生き物である。


これだけで今週の記事を終わらすのはナンなので、

雨の中チョコチョコつまんで帰った虫なぞ。

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モンキアシナガヤセバエ Nerius femoratus
現地で写真を撮らなかったので、標本写真。
前翅長8mm
樹液によく集まっているハエの仲間である。

拡大してみると、ハエの胸部に、足の生えたゴミが付いている。

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ここでやっと、表題の生き物の登場である。
実体顕微鏡にデジカメを押し当てて撮っても、細部がよく判らない。

プレパラート標本にして見た。

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ヒゲダニ科の一種 Anoetidae gen. sp.

スケールは1目盛り0.005mmなので、体長0.15mmないくらい。
ダニ目、無気門亜目(コナダニ亜目)に属する。
このダニも、昆虫にくっついて運まかせの旅に出る。

ちなみに先週紹介したイトダニ類は、中気門亜目(トゲダニ亜目)。


光学顕微鏡で見ると、なかなか複雑な形。

左側にサルが笑っているような模様があるが、
こちらはおしりである。
並んでいる丸い模様は「肛吸盤(こうきゅうばん)」と呼ばれるもので、これで他物に付着する。

通常、ヒゲダニを含むコナダニ類は、
卵-幼虫-第1若虫-第3若虫-成体と、脱皮しながら成長するが、
なかには、第1若虫と、第3若虫の間に「ヒポプス(hypopus)」と呼ぶ時期を経過する種類がいる。
つまり、第2若虫の時期がヒポプスであるらしい。

hypopus・・・・・・
ラテン語的な響き。。。。意味は? 知らない。

おしりの反対側には、口器があるはずなのだが、
このヒゲダニ、2本のヒゲが生えているだけである。
口器が退化している。
便乗生活者として、高度に適応?しているらしい。

虫にくっついて、新天地にウマク運んでもらうまでは飲まず食わず。
危険な旅ですね。