旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

土の中のイカ

神戸も2月に入ると、チョコッと春の兆しが見られるようになる。
虫はまだまだフユシャクたちばかりだが、日溜まりの植物では、ノゲシやクサイチゴの花が咲いていた。
でも虫は来ていない。
そうそう、モチツツジも咲いていた。
完全にフライングである。

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で、あいかわらず紹介するのは一年中いる、土の中の生き物。

今回は腐植を食べる平和主義者、ササラダニの仲間である。

名前はイカダニ科Otocepheidae
の一種。

まずは背面。

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今までに紹介したササラダニと違って、やや細長い。
イカと言えばイカだが、イカ飯の方が近いかな?

腹面

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生殖門板が他の部分より濃い色をしていたら、ヒョウタンイカダニ属で、同じ色ならコンボウイカダニ属だそうだ。

なので、画像はコンボウイカダニの一種


日本産土壌動物の検索表から、イカダニ科に行き着くまでの特徴を抜粋


ササラダニ類スタート

・体を丸めることが出来ない
・肥大した毛が体を覆い隠すことはない
・脚の爪は3本か1本
・後体部に横溝はない
・体に翼や振り袖状の突起はない
・体に脱皮殻を背負わない
・生殖門と肛門は離れる
・腹面に背板が回り込んで見えたり、切れ込みや溝などの特別な構造がない
・腹面の毛は単純(一部に根本から4・5本に分岐した草状毛はない)
・肛門板の毛は2対
・体は球形ではない
・背面の毛は全て同長
・前体部と後体部の境界は一部で切れることもなく完全に認められる。
・体は角ばることはなく丸い
・背毛は周縁に配列されることはなく、散らばる。
・体は平たくない
・左右の桁は離れる
・桁は細く平行に走る
・後体部は長卵形
・桁毛は桁の先端近くから生じる

をクリアしてやっと、イカダニ科にたどり着く。

そこから各属に辿り着くために検索は続く。

・脚庇はイチョウの葉型に広がらない
・生殖門板は周囲の色と同色
でやっとこすっとこ、コンボウイカダニ属 Fissicepheus
に行き着いた。

ちなみに 生殖門板の色が周囲と比べて濃色なのは
ヒョウタンイカダニ属 Dolicheremaeus
だそうだ。

実は、日本産土壌動物の絵解き検索では、この生殖門板に関する記述が逆になっている。
ここでは、本文の記述に従い、同色なのをコンボウイカダニ属としておきます。
もし間違っていたら、コメントください。