旧「いもむしうんちは雨の音」置き場

ブロガリサービス終了にともない、「いもむしうんちは雨の音」をこちらに保存しました。

腐葉土のうじむし

寒い時期の恒例。
土の中の生き物。

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うっすらと雪をかぶった落ち葉をのけて、その下の腐葉土をひとつかみ。寒いから、長居は無用である。

それでもアオキの葉裏でゴマフリドクガSomena pulvereaの弱齢幼虫や、

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ヒサカキの葉裏でベニヒメヨコバイDayus takagiiをデジカメに収めつつ帰途につく。

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(注:これはちゃんと調べたわけではありません。安易に信じないこと。)


さて、おこたでヌクヌクしながら腐葉土をルーペで覗いて見ると、うにっ、うにっ、と不器用に動く蛆虫がいた。
先細でおしりの丸っこい扁平な体型。

昔、汲み取り便所に湧いていたアメリカミズアブの幼虫にそっくりである。

アメリカミズアブと言えばトイレの水洗化が進んで、街中ではめっきり見かけなくなった。
が、最近のエコブームで家庭に設置されたコンポスト(生ゴミ処理器)に新天地を見いだしたようで、そこで大発生した幼虫が、世の奥様方をビビらす例が増えてきたようだ。
現象だけを冷静に見れば、生ゴミの分解が促進されて良いことなのである。


さて、腐葉土からでてきたミズアブ幼虫は、それよりずっと小さく6~7mmと言ったところ。
これは昨年、同時期にササラダニを撮ったときに見ており、そのまま腐葉土と一緒においておいたら(飼育とは言えない。)、小さなピカピカのミズアブが羽化してきた。
以下はそのときの画像。

これが羽化後の殻。

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泥が付いて見苦しい。。。。
右がおしりで、左が頭部。

頭部がはずれて、胸部に縦の裂け目が入り、成虫が出てくる。
実はこの殻は、終齢幼虫の殻である。
この中に蛹の殻が入っている。

ハエやミズアブの仲間は、幼虫の殻が固くなり、その中で蛹になる習性があり、この状態を「囲蛹(いよう)」と呼ぶ。
同じ双翅目でも、カやムシヒキアブなどは、幼虫の殻は普通に脱ぎ捨てて蛹になる。(囲蛹に対して「裸蛹(らよう)」と呼ぶ。)


それはおいといて、羽化したのがこれ。

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新訂 原色昆虫大図鑑(北隆館)や日本産水生昆虫(東海大学出版会)などで、どうにか Beris属の仲間に落ち着いた。

Beris属の特徴を羅列すると、
翅脈のM4脈はd室からでる。
触角鞭節は8節。
小楯板後縁に刺状突起がある。
♂の複眼は大きく、中央で接する。。。。等々

図鑑のBeris属には、ヒゲブトルリミズアブとかが載っていたが、ちょっと違う。
そこで、ネットでちょっと調べてみた。
CiNii(サイニィ;NII論文情報ナビゲータ)でBerisを検索してみたら、
日本産Berisの総説がヒットした。
さいわい本文の閲覧が可能だったので見てみた。

英語だった。。。。。。。
でもまぁ、交尾器の図などもあったので、
なんとか種まで到達。

Beris hirotsui になりました。

学名だけで、和名のついていない種類。
めずらしいかと思いきや、北海道、本州、四国、九州に分布する、普通種だそうだ。

せっかくなので、Beris hirotsui の交尾器画像。

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